はじめに
行政法では、「行政は国民の信頼を裏切ってはいけない」という考え方が重要になります。
その代表的な原則が 信義則(信義誠実の原則) です。
信義則とは、相手の信頼を裏切らないよう誠実に行動しなければならないという原則で、行政法の一般原則の中でも重要な考え方です。
行政書士試験でも、信義則は
- 課税処分
- 公務員の身分
- 行政処分の撤回
など、さまざまな場面で問題になります。
しかし、
「信義則って何?」
「信頼保護原則とは何が違うの?」
「民法の信義則と同じなの?」
と疑問に思う方も多いと思います。
この記事では信義則について、
- 基本的な意味
- 行政法での役割
- 判例での考え方
をわかりやすく解説します。
信義則とは
信義則とは、
相手の信頼を裏切らないように誠実に行動しなければならないという原則
です。
これは、民法に規定されていて、行政法にも適用されています。
民法1条2項:
- 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
つまり、「法律関係にある当事者同士は、相手の信頼を裏切るような行動をしてはいけないというルール」です。

行政法における信義則
信義則は本来、民法の原則ですが、行政法でも適用されます。
行政と国民の関係でも、
- 行政の説明を信じて行動した
- 行政が長期間その状態を認めていた
などの場合には、
行政が国民の信頼を裏切るような不利益な処分をすると、信義則違反になる可能性があります。
行政法での信義則の適用は、公平性・公正性・公益性も重要になります。
この考え方は行政法の一般原則、
信頼保護原則とも深く関係しています。
▶行政法の一般原則についてはこちらの記事で解説しています。 →行政法の一般原則とは?判例紹介でわかりやすく解説【行政書士試験対策】
信義則と信頼保護原則の違い
信義則と信頼保護原則は似ていますが、少し意味が違います。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 信義則 | 互いに信頼を裏切らないよう誠実に行動する原則 |
| 信頼保護原則 | 国民が行政を信頼した場合、その信頼を保護する |
簡単に言うと
信義則=一般的な誠実義務
信頼保護原則=行政に対する信頼の保護
という関係になります。
信義則が問題になる代表判例
行政法では、信義則が問題になる判例がいくつかあります。
代表的なものは次の2つです。
- 課税処分と信義則(最判昭和62年10月30日)
税務署の対応によって納税者が信頼して行動した場合、
その信頼が保護されるかが問題となりました。
▶詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→課税処分と信義則とは?最判昭和62年10月30日をわかりやすく解説
- 公務員の失職事由と信義則(最判平成19年12月13日)
公務員が長期間勤務していた場合でも、
法律上の欠格事由があれば当然に失職するのかが問題となりました。
▶詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→公務員の失職事由と信義則とは?最判平成19年12月13日をわかりやすく解説
行政書士試験のポイント
行政書士試験では、次の点が重要です。
ポイントは以下の通りです。
- 信義則は行政法にも適用される
- ただし適用は例外的
- 法律の明確な規定がある場合は認められにくい
つまり、信義則は万能ではないという点が試験ではよく問われます。
他の行政法の一般原則
信義誠実の原則(信義則)は行政の一般原則の一つです。
行政の一般原則には他にも次のようなものがあります。
- 平等原則
- 比例原則
- 裁量権の逸脱と濫用禁止の原則
▶平等原則についてはこちらの記事で解説しています。 →平等原則とは?行政法の一般原則をわかりやすく解説|憲法14条との関係【行政書士試験】
▶比例原則についてはこちらの記事で解説しています。 →比例原則とは?行政法の一般原則をわかりやすく解説【行政書士試験対策】
▶裁量権の逸脱と濫用禁止の原則についてはこちらの記事で解説しています。 →裁量権の逸脱・濫用とは?違い・判断基準・判例をわかりやすく解説【行政法】
関連判例
信義則に関する判例はこちらの記事をご覧ください。
▶公営住宅明渡請求事件とは?信頼関係の法理をわかりやすく解説【最判昭和59年12月13日】
まとめ
信義則とは、相手の信頼を裏切らないよう誠実に行動しなければならないという原則です。
ポイントは、
- 信義則とは、信頼を裏切らないよう誠実に行動する原則
- 民法1条2項が根拠
- 行政法にも適用される
- ただし適用は例外的
- 判例では厳格に判断される
行政法では、国民が行政を信頼した場合、その信頼をどこまで保護するかが問題になります。
ただし、信義則は万能ではありません。
法律の明確な規定がある場合には適用が制限される点が重要です。
行政書士試験では、
- 信義則
- 信頼保護原則
- 判例
をセットで理解することがポイントになります。


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