行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説【行政書士試験】

行政書士試験・法律解説

はじめに

行政書士試験では、行政救済法の理解がとても重要です。
行政救済法は行政書士試験で出題されることが多く、内容を理解し点数を稼ぎたい分野です。

しかし、

  • 救済制度が多くて整理できない
  • 国家賠償、取消訴訟、審査請求の違いが分からない
  • どの順番で使う制度なのか分からない

と感じる人も多い分野です。

事案や目的などで、扱う行政救済法が異なるので、混乱しやすくなります。                                                                                   

この記事では、行政救済法の全体像を整理しながら、

  • 行政救済法とは何か
  • 救済制度の種類
  • 制度の使い分け
  • 試験で狙われるポイント

を初学者向けに解説します。

行政法の全体像についてはこちら
行政法とは?5分でわかる全体像と流れ

行政救済法とは?

行政救済法は、行政手続法の事後救済の位置づけとなります。

行政救済法を簡単に表すと、
「行政の違法・不当な行為から国民の権利利益を救済する制度」です。

例えば:

  • 違法な行政処分を受けた
  • 公務員の違法行為で損害を受けた
  • 税金の使い方がおかしい

このような場合に、「どうやって争うか」を定めています。

行政作用は多岐にわたるため、事案や目的に応じて利用する行政救済制度が異なります。

なお、「行政救済法」という名前の法律があるわけではありません。

行政不服審査法・行政事件訴訟法・国家賠償法などをまとめて行政救済法と呼んでいます。

行政救済はなぜ必要か?

行政は許認可や許認可の取消しなど、国民の生活を左右する大きな力を持っています。
行政が好き勝手に力を使うと、国民に不利益が生じます。

そこで行政の権力をコントロールをする法律が必要となります。     

  • 行政組織法
  • 行政作用法
  • 行政救済法

日本は法治国家なので、これらの法律で国民の権利利益を守り、行政の適正化を図っています。

そもそも対象となる行政行為とは?                                       →行政行為とは?わかりやすく解説|具体例と処分との違い

行政救済の全体像

行政救済のイメージ図です。

行政救済の大きく3種類

行政救済には大きく分けて3種類あります。                                    

① 行政内部で争う
→ 行政不服審査(審査請求など)

② 裁判で処分を争う
→ 行政事件訴訟(取消訴訟など)

③ 損害を金銭で回復
→ 国家賠償

行政の過ちによって、選択できる行政救済が変わるので、それぞれの要件を理解することが重要です。

制度ごとの役割

行政不服審査(内部救済)

行政不服審査は、行政内部で見直しを求める制度です。
行政不服審査法では、審査請求・再調査の請求・再審査請求の3種類があります。

特徴:

  • 手続きが簡単
  • 費用が安い
  • 迅速
  • 違法な処分だけではなく不当な処分も対象

※審査請求自体は無料で行えますが、専門家への相談料や、書類の閲覧・コピーに費用がかかります。

行政事件訴訟(司法救済)

行政事件訴訟は裁判所に判断してもらう制度です。

行政事件訴訟では、原則として「違法な処分」が対象になります。

不当な処分まで争える行政不服審査法との違いが重要です。

例:

  • 取消訴訟
  • 無効等確認訴訟
  • 義務付け訴訟

行政事件訴訟法の全体像はこちら
行政事件訴訟法とは?全体像をわかりやすく解説

行政事件訴訟法の要件となる処分性についてはこちら                                      →処分性とは?わかりやすく解説

処分性の全体像についてはこちら
処分性の全体像まとめ|判断基準と重要判例を一気に整理

抗告訴訟についてはこちら
抗告訴訟とは?種類・流れをわかりやすく解説

取消訴訟についてはこちら
取消訴訟とは?要件・出訴期間・原告適格をわかりやすく解説

義務付け訴訟の詳しい解説はこちら
義務付け訴訟とは?要件・種類・取消訴訟との違いをわかりやすく解説

差止訴訟の詳しい解説はこちら
差止訴訟とは?要件・義務付け訴訟との違いをわかりやすく解説

国家賠償

国や地方公共団体が、故意または過失があり、国民に損害を与えた場合、金銭で解決する仕組みです。                                           行政行為の取消ではなく、損害の金銭的回復を目的とする制度です。               

例:

  • 公務員の違法行為で損害が出た場合
  • 国営公園の遊具の破損を放置し、損害が出た場合

国家賠償法1条について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。                           →【国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説】

国家賠償法2条について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。                         →国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説【行政書士試験】

国家賠償の重要判例を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。                              →取消訴訟と国家賠償の関係をわかりやすく解説【最判平成22年6月3日 冷凍倉庫事件】

行政不服審査と行政事件訴訟の違い

項目行政不服審査行政事件訴訟
判断機関行政庁裁判所
対象違法・不当原則:違法性のみ
申立先行政庁裁判所
目的簡易・迅速救済法的判断

住民監査請求・住民訴訟の位置づけ

行政事件訴訟は、大きく分けて2つに分類されます。

  • 主観訴訟                                                  →自分の権利利益を守る訴訟
  • 客観訴訟                                                    →行政行為の適正化・法秩序の維持を目的

住民監査請求・住民訴訟は客観訴訟に分類されます。

地方自治体の違法または不当な財務関係に対する救済制度として:

  • 住民監査請求
  • 住民訴訟

があります。

住民監査請求・住民訴訟について知りたい方はこちらの記事もお読みください。                       →【住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説】

住民監査請求の判例が知りたい方はこちらの記事もご覧ください。                             →最判平10.12.18|住民監査請求が却下された後、もう一度請求できる?【行政書士試験対策】

行政救済の流れ

基本パターン

① 行政処分を受ける

② 行政不服審査or行政事件訴訟

③ 国家賠償(必要なら)

行政不服審査をするか、行政事件訴訟をするかは原則自由です。

同時に行う事も可能ですが、個別の法律に「審査請求の裁決を受けた後にしか訴訟は提起できない」とある場合はできません。(審査請求前置主義)

試験で狙われるポイント

  • 行政不服審査法の意義
    国民の権利利益の救済・行政の適正な運営を確保
  • 不服審査と訴訟の違い
    不服審査は行政内部・訴訟は裁判所
  • 国家賠償の位置づけ
    金銭で解決
  • 救済制度の使い分け
    行政事件訴訟は違法のみ不服審査は不当もOK
  • 前置主義 →審査請求前置主義(行政不服審査)個別の法律にある場合
    住民監査前置主義 (住民訴訟) 絶対に先                                                                                                                                    

よくある間違い

× すぐに裁判できるか
→ 行政内部手続が必要な場合あり(審査請求前置主義)

× 国家賠償=行政処分を取り消す制度
→ 違う(損害回復のみ。処分の取消をしたいなら行政不服審査か行政事件訴訟)

まとめ

行政救済法は、

  • 行政内部救済(行政不服審査法)
  • 司法救済  (行政事件訴訟)
  • 損害救済  (国家賠償法)

の3つを中心に構成されています。

行政書士試験では、条文と判例の理解が重要になります。

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