国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説

行政書士試験・法律解説

はじめに

行政書士試験の行政法分野では、国家賠償法は頻出テーマです。
特に国家賠償法1条は、択一・記述ともに狙われやすい重要分野です。

しかし、受験生の多くが次のポイントでつまずきます。

・条文が抽象的で理解しにくい
・「違法」の意味が分からない
・判例との関係が整理できない

この記事では、

  • 国家賠償法も基本構想
  • 国家賠償法1条の4要件

を初学者でもイメージできるレベルで解説します。

※この記事は法律解説であり、個別の法律相談ではありません。


国家賠償法とは?

国家賠償法とは、
国や地方公共団体が損害賠償責任を負うルールを定めた法律です。

簡単に言うと、

▶ 公務員の違法行為で損害が出た
▶ 国や自治体が責任を負う

という仕組みです。

他の法律に定めがある場合はそちらが適用されます。

国歌賠償法は救済法の一部です。行政救済総論について知りたい方はこちらの記事もお読みください。                                                          → 行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説


国家賠償法1条とは?

条文のポイントを分解すると、次の4つです。

■ 国家賠償法1条の4要件

① 公権力に当たる公務員
② 職務を行うについて
③ 故意または過失があり
④ 違法に他人へ損害を与えた

→ この場合、国または自治体が賠償責任を負います。                                  

要件を深堀していきます。

要件①:公権力に当たる公務員

国家賠償法1条の1項では、公権力の行使に当たる公務員が要件とされています。                     「公権力の行使とは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。                               

公権力の行使の定義は広く捉えられており、行政権だけではなく、立法権や司法権も含まれています。

つまり、以下の行為以外は、公権力の行使の当たると考えられます。

  • 公の営造物の設置・管理(国家賠償法2条)
  • 私経済作用(国や地方公共団体と民間企業の事務用品の売買契約など)

公立学校での教師の教育活動や、課外クラブ中の監視・指導なども公権力の行使に当たります。

公務員には公権力を委任されている民間人も含まれます。                                    判例:最判平19年1月25日【社会福祉法人の職員の行為】

また、違法行為を行った公務員が特定できなくても、国家賠償責任を問える場合があります。

要件②:職務を行うについて

 国家賠償法は公務員の「職務行為」が要件とされています。                しかし、公務員の職務行為かどうかを判断するのは難しい場合もあります。

そこで、最高裁の判例では、客観的に職務執行の容貌などを備えていたら「職務を行うについて」と見なされると判決がでています。(外形標準説)

判例:最判昭31年11月30日【公務員の職務を行うについての判例】             

要件③故意または過失があり    

故意か過失かが国家賠償法の要件になります。                                        故意は「自分の意志で」、過失は、「不注意」という意味です。

要件④ 違法に他人へ損害を与えた

国家賠償法は違法性も要件に含まれます。                                            国家賠償法1条の違法には

  • 法令違反
  • 裁量逸脱・濫用
  • 注意義務違反

などが含まれます。                                                    損害には生命・身体・財産・に関する損害と精神的損害も含まれます。                                   ※試験では判例ベースで問われることが多いです。  

国家賠償法1条と2条の違い

条文内容
1条公務員の違法行為
2条公の営造物の管理責任

被害者が公務員へ個人責任は問えるのか? 

国家賠償法が適用される場合、損害を与えた公務員個人は被害者に対して、直接責任を負いません。                                                       国または公共団体が責任を負います。

しかし、公務員に故意・重過失があった場合は、国・公共団体は、公務員に対する求償権が認められています。

国家賠償法は民法の使用者責任のように、免責事由や被害者への責任追及はできません。

使用者責任国家賠償請求
加害者個人への賠償請求できないできる
使用者の免責事由ありなし

 

取消訴訟中に国家賠償請求はできるのか? 

判例では、違法な行政処分を受けた場合、その行政処分につき、取消訴訟や無効等確認の判決を受ける必要はないとあります。                                            取消訴訟・無効等確認の判決を受ける必要ななく、国家賠償請求はできます。

取消訴訟と国家賠償請の関係を知りたい人はこちらをご覧ください。                         → 取消訴訟と国家賠償の関係をわかりやすく解説【最判平成22年6月3日 冷凍倉庫事件】      


国家賠償法1条をイメージで理解

例:

①市役所職員が
②明らかに間違った処理をして                                 ③市民に           
④損害を与えた

→ 国家賠償の可能性あり


試験に出る覚え方BOX

■ 覚え方

▶ 「公・職・故過・違・損」

①公務員が
②職務で
③故意または過失で
④違法性があり
⑤損害を与えた

故意・過失・違法性がとても重要です。



試験で狙われやすいポイント

✔ 公権力の行使                                               ✔ 公務員性
✔ 職務関連性
✔ 違法判断(判例)
✔ 故意・過失

公権力の行使に立法権や司法権も含まれていることを忘れないようにしましょう。


よくある間違い

× 公務員が関係すれば全部国家賠償

→ 違う(違法+故意または過失+損害が必要)


× 取消訴訟・無効等確認の訴訟中は国家賠償請求できない

→ 違う(判決を待たなくても、国家賠償請求はできる)


関連知識

・住民訴訟とは                                                     → 住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説
・重要判例まとめ                                                        → 記帳所事件とは?【行政書士試験対策】事案・争点・判旨をわかりやすく解説                               → 最判平10.12.18|住民監査請求が却下された後、もう一度請求できる?【行政書士試験対策】


まとめ

国家賠償法1条のポイントは次の通りです。

✔ 公務員の職務行為
✔ 故意または過失
✔ 違法行為
✔ 損害発生

→ 国や自治体が責任を負う。

行政書士試験では、条文理解+判例理解の両方が重要になります。

国家賠償法2条について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。                            →国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説【行政書士試験】

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