はじめに
行政書士試験では、国家賠償法は重要テーマの1つです。 「国家賠償法1条」も重要ですが、国家賠償法2条も行政書士試験でよく出題されます。
しかし、
- 1条と2条の違いが分からない
- 営造物責任って何?
- どこが試験で狙われる?
と悩む人も多い重要テーマです。
この記事では、
- 国家賠償法2条とは何か
- 国家賠償法1条との違い
- 試験で狙われるポイント
を初学者向けにわかりやすく解説します。
▶行政救済法総論について気になる人はこの記事もご覧ください。 →行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説【行政書士試験】
国家賠償法2条とは?
国家賠償法2条は、公共施設の欠陥により、損害を受けた場合、国や自治体が責任を負う制度です。
例:
- 道路の穴があった
- 公園の遊具が壊れていた
- 橋が老朽化していた
などがあります。
このような場合に、国や自治体が損害賠償責任を負います。
条文をシンプルにすると、国家賠償法2条のポイントは次の2つです。
① 公の営造物(公共施設)
② 設置または管理に瑕疵(欠陥)がある
→ この場合、国や自治体が賠償責任を負う

国家賠償法2条の要件
国家賠償法2条の要件は、下記の3つになります。
- 公の営造物に
- 設置・管理に瑕疵があり
- 損害が生じた
この3つの条件を満たすと、国家賠償請求が認められます。
しかし、通常想定される使用方法から逸脱した利用による損害は、国家賠償責任が否定される場合があります。
例:
- ガードレールの上に腰掛けて怪我をした
- 1人用ブランコで3人乗りをして落ちて怪我をした
(※通常予測できない危険な利用方法の場合)
国家賠償法2条は営造物の利用者の損害だけではなく、利用者以外の第三者の損害も含まれます。
「公の営造物」とは?
公の営造物とは、国や自治体が設置・管理している施設です。
例:
- 道路
- 公園
- 学校
- 河川
- 公共施設の設備
- 公用車
などがあります。 「公の営造物」には不動産だけではなく、動産も含まれます。 また、河川のような自然公物も含まれるので、注意が必要です。
「瑕疵(かし)」とは?
瑕疵とは、 簡単に言うと:通常有すべき安全性を欠いている状態 例:
・道路に大きな穴が開く
・壊れた遊具を放置している
・トンネルが崩落した
などです。
国家賠償法1条と2条の違い
国家賠償法1条と2条の違いは試験対策として重要になります。
▶国家賠償法1条について知りたい人はこちらの記事もご覧ください。 →国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説
●国家賠償法1条
対象は公務員の違法行為。
必要要件
- 公務員
- 職務行為
- 故意または過失
- 違法
- 損害
公務員の行為の責任による賠償が、国家賠償法1条。
■ 国家賠償法2条
対象は施設の欠陥
必要要件
- 営造物
- 設置または管理の瑕疵
- 損害
モノ(施設)の責任による賠償が、国家賠償法2条。
国家賠償法2条は1条と違い、故意または過失は要件ではありません。(無過失責任) しかし、不可抗力によることを立証できた場合は責任を免れます。 (例:予測不可能・回避不可能な自然災害など)
赤色灯事件(最判昭和50年6月26日)の判例が不可抗力に当たります。
1条と2条の違いを以下にまとめました。
| 項目 | 1条 | 2条 |
|---|---|---|
| 対象 | 公務員 | 公の営造物 |
| 故意・過失 | 必要 | 不要 *不可抗力の立証で免れる |
| 違法性 | 必要 | 不要 |
| 損害 | 必要 | 必要 |
国家賠償法2条の求償権
求償権とは、国や公共団体が損害賠償をした場合、公務員個人に対して損害賠償した費用を請求する権利です。
国家賠償法1条は、公務員に故意または重大な過失があった場合に、公務員に対する求償権が認められています。
国家賠償法2条は、損害の原因について、他に責任を負うべき者がいる場合に求償権が認められています。
シンプルな覚え方
●1条は
→ 公務員の故意または過失+違法性
●2条は
→ 公の営造物、設置・管理の瑕疵
試験で狙われるポイント
試験で狙われるポイントは、
- 公の営造物 →不動産だけではなく、動産も含まれる
- 2条は過失が必要か? →過失は必要ない。無過失責任
関連知識
▶取消訴訟と国家賠償の関係をわかりやすく解説【最判平成22年6月3日 冷凍倉庫事件】
国家賠償法2条のイメージ例
① 道路上に故障車
② 必要な処置されず放置
③ バイクが転倒
④ ケガ
→ 国家賠償法2条の可能性あり
よくある間違い
Q:河川や海浜などの自然物は、公の営造物ではない。 →A:自然公物も公の営造物に含まれる。
Q:前を走行中の車が赤色灯標柱を倒し、後続車が事故を起こした場合、道路上の瑕疵として賠償責任があるか? →A:時間的に原状に戻すことが不可能な場合は、道路上の瑕疵があったとは言えない。(最判昭和50年6月26日)
行政書士試験での出題傾向
- 要件
- 公の営造物
- 設置・管理の瑕疵
- 判例知識
国家賠償法は有名な判例が多いので、判例の理解も重要になります。
まとめ
国家賠償法2条は「条文暗記」ではなく、「具体例で理解」することが合格のコツです。 国家賠償法2条のポイントは以下の通りです。
●公の営造物の理解
● 瑕疵の意味
● 判例知識
国家賠償法は、1条(人の責任)と2条(施設の責任)をセットで覚えるのが得点のコツです。

コメント