はじめに
国家賠償法は1条・2条を中心に勉強しがちです。
「3条~6条って何を定めているの?」
「試験に出るの?」
「誰が最終的に責任を負うの?」
と疑問に思う方も多いはずです。 国家賠償法3条から6条は、1条・2条を補完する役割があるので、国家賠償法を理解するためには外せない条文です。
この記事では、
- 各条文の役割
- 誰が責任主体になるのか
- 試験で狙われるポイント
をわかりやすく整理します。
国家賠償法の全体像
まず前提として、国家賠償法は国や公共団体が損害賠償責任を負うルールを定めた法律です。 その中で、
国家賠償法1条 → 公務員による、故意または過失があり違法に他人に損害を与えた場合
国家賠償法2条 → 公の営造物の瑕疵により損害を与えた場合
を定めています。
※1条・2条の詳しい解説はこちら
▶国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説
そして3条~6条は、
「責任の調整・補充ルール・適用範囲」
を定めています。
国家賠償法3条とは?
国家賠償法3条は、賠償責任者の範囲と内部での求償権について定めた条文です。 公共団体の構造が複雑で、請求先が迷う場合のために定められた法律です。

賠償責任者の範囲
●国家賠償法1条の賠償責任者 →公務員を選任・監督している国や公共団体
●国家賠償法2条の賠償責任者 →公の営造物を設置・管理している国や公共団体
しかし、損害賠償請求をどこの公共団体にすればいいのか、迷う場合も考えられます。
そこで、国家賠償法3条は、賠償責任者の明確化、内部求償を規定しています。
●国家賠償法1条 →公務員の給与、その他の費用を負担している者
●国家賠償法2条 →公の営造物を設置・管理の費用を負担している者
わかりやすく下記表にまとめました。
| 国家賠償法 | 賠償責任者 |
|---|---|
| 国家賠償法1条 | 公務員を選任・監督している国や公共団体または、公務員の給与、その他の費用を負担している者 |
| 国家賠償法2条 | 公の営造物を設置・管理している国や公共団体または、公の営造物を設置・管理の費用を負担している者 |
どちらか一方だけが、損害賠償責任を負うことは公平ではないので、内部関係での求償権が認められています。
3条のポイント
3条のポイントは以下の2つです。
- 賠償責任者の範囲
- 内部関係での求償権
国家賠償法3条は賠償責任者の範囲と内部求償について定めた法律です。
試験ポイント
試験ポイントは以下の通りです。
- 費用負担者も賠償責任を負う
- 内部での求償権がある
●判例 →中学教諭の損害賠償についての求償 →国道55号線設置費用負担者事件
国家賠償法4条とは?
国家賠償法は1条~6条しかない法律です。 国家賠償法で定めがない場合は民法が適用されることを定めています。
「民法の規定による」とは?
国家賠償法だけでは適用できない件を、民法で補完することが4条では定められています。
例えば、
- 消滅時効はあるのか?
- 精神的損害は含まれないのか?
- 共同不法行為者の責任について
など、これらは特別法がない限り、民法の規定が適用されます。
試験ポイント
4条のポイントは1つです。
- 国家賠償法に規定されていなことは、民法で補う
●判例 →国家賠償法4条と失火責任法
国家賠償法5条とは?
国家賠償法5条は、民法とその他の法律の関係を規定したものです。
民法と国家賠償法、その他の法律の関係
国家賠償法5条では、「どの場合に」、「どの法律」が適用されるのかを規定しています。 適用される順は以下の通りです。
①民法以外の他の法律の別段と定め(特別法) ↓ ②国家賠償法 ↓ ③民法
試験ポイント
5条のポイントは一つです。
- 国家賠償法より特別法が適用される
●判例 →郵便法免責規定の違憲判決 →自動車損害賠償保障法との関係
国家賠償法6条とは?
国家賠償法6条は相互保障主義に関する規定です。 外国人が被害者の場合は、相互保障がある場合は国家賠償法が適用されます。

相互保障主義とは?
相互保障主義は、日本人が外国で損害を受けた場合に、自国と同様の条件で保障がされる場合、相手の国民の損害補償を認めるということです。
ポイント
6条のポイントは、一つです。
- 外国人に国家賠償法が適用されるには、相互保障が必要
国家賠償法3条~6条まとめ
国歌賠償法1条から6条を整理すると:
| 条文 | 内容 | 責任の所在 |
|---|
| 1条 | 公務員の違法行為 | 国・公共団体 |
| 2条 | 営造物の瑕疵 | 国・公共団体 |
| 3条 | 賠償責任者 | 費用負担している者も責任を負う |
| 4条 | 民法補充 | 民法適用 |
| 5条 | 他法優先 | 特別法優先 |
| 6条 | 外国人 | 相互保障 |
国家賠償法3条~6条は、国家賠償法1条・2条を補完するための条文です。 国家賠償法は、1条~6条までしかありませんが、判例が多くあります。
行政書士試験では条文と判例知識が重要になります。
関連リンク
▶ 国家賠償法1条の解説はこちら
▶ 国家賠償法2条の解説はこちら
▶ 赤色灯事件の解説はこちら ▶冷凍倉庫事件の解説はこちら ▶行政救済法総論の解説はこちら


コメント