はじめに
行政書士試験では、住民監査請求・住民訴訟の流れがよく問われます。
その中でも重要なのが、
▶ 住民監査請求が却下された場合、もう一度、住民監査請求できるのか
▶ 出訴期間の基準はいつなのか
という点です。
この問題について判断したのが、最判平成10年12月18日です。
この記事では、最判平成10年12月18日の判例から下記のことを解説していきます。
・事案
・争点
・判旨
・試験ポイント
ぜひ最後までお読みください。
▶住民監査請求は行政救済の一部です。行政救済総論について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 → 【行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説】
事案
●再度、住民監査請求をした流れ。
①市長が公金を支出し、学校の分離校を建設。 ②住民が、「分離校を公金を使って建設する必要があるのか」と住民監査請求をした。(平成8年6月28日) ③監査委員が「分離校建設は行政運営だから不適法」と却下。(平成8年7月13日) ④表題と請求理由を変更して、もう一度、住民監査請求をした。(平成8年8月12日) ⑤監査委員が「請求人も請求内容も前と同じ」と却下。(一事不再理の原則)(平成8年9月5日) ⑥住民訴訟を起こす。(平成10年10月3日)

●出訴期間の基準についての流れ
①住民監査請求に納得できないから住民訴訟を提訴。(平成10年10月3日) ②第一審:住民監査請求の内容は1度目も2度目も適法。2度目の監査請求は内容が一緒だから不適法。 ③出訴期間は2度目の監査請求は1度目の監査請求が基準。出訴期間過ぎてから不適法。 ④第二審:第一審を支持。棄却 ⑤最高裁へ上告

争点
● 住民監査請求が却下された場合、再請求ができるのか?
●出訴期間の基準は1回目の監査請求か2回目の監査請求か?
判旨
■ 結論:
●適法であるにもかかわらず、監査委員が誤って不適法却下した場合は、再度の住民監査請求が許される。 ●出訴期間は適法な再度監査請求がされた場合は、その却下通知から30日以内。
■ 理由
●「住民監査請求」は監査委員に監査の機会を与えている。 ●「住民監査請求」は内部的な処理で是正・予防するのが目的。 ●適法な「住民監査請求」を不適法として監査しなかった。 ●再度「住民監査請求」を認めて監査の機会を与えてもらうのは制度の目的に適合する。 ●出訴期間は再度「住民監査請求」を却下して30日以内。
監査委員が適法なのに不適法と却下した住民監査請求は、直ちに「住民訴訟」も提訴でき、再度「住民監査請求」もできると考えられる。
住民訴訟制度は、まず監査による自主的是正を期待する制度であり、本判例はその制度趣旨を重視した判断といえる。
※最判昭和62年の最高裁の判決では、再度、住民監査請求することに否定的でしたが、この判決では適法なものとしました。
⑤ ここが試験で狙われる
✔ 却下と棄却の違い
却下 → 内容を見てない
棄却 → 内容を見て負け
✔ 再請求はできるか?住民訴訟のみか?
→ 両方できる。
✔ 監査請求前置主義との関係
→ 監査機会確保のため再請求を認めた
関連知識リンク
・住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説
・記帳所事件とは?【行政書士試験対策】事案・争点・判旨をわかりやすく解説(国家と裁判の関係)
まとめ
この判例のポイントはシンプルです。
✔ 適法な住民監査請求を不適法と却下されたら、再度、住民監査請求はできる。
✔ 住民訴訟も提起できる。 ✔ 出訴期間は適法な再監査請求が却下されて30日以内。
昭和62年の判決が従来の判例より、再度請求を広く認めた判断となりました。

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