はじめに
行政書士試験では、行政救済法の理解がとても重要です。 行政救済法は行政書士試験で出題されることが多く、内容を理解し点数を稼ぎたい分野です。
しかし、
・救済制度が多くて整理できない
・国家賠償、取消訴訟、審査請求の違いが分からない
・どの順番で使う制度なのか分からない
と感じる人も多い分野です。 事案や目的などで、扱う行政救済法が異なるので、混乱しやすくなります。
この記事では、行政救済法の全体像を整理しながら、
・行政救済法とは何か
・救済制度の種類
・制度の使い分け
・試験で狙われるポイント
を初学者向けに解説します。
行政救済法とは?
行政救済法は、行政手続法の事後救済の位置づけとなります。 行政救済法を簡単に表すと、
● 行政の違法・不当な行為から国民の権利利益を救済する制度。
例えば:
・違法な行政処分を受けた
・公務員の違法行為で損害を受けた
・税金の使い方がおかしい
このような場合に、「どうやって争うか」を定めています。 行政作用は多岐にわたるため、事案や目的に応じて利用する行政救済制度が異なります。
行政救済はなぜ必要か?
行政は許認可や許認可の取消しなど、国民の生活を左右する大きな力を持っています。 行政が好き勝手に力を使うと、国民に不利益が生じます。
そこで行政の権力をコントロールをする法律が必要となります。
- 行政組織法
- 行政作用法
- 行政救済法
日本は法治国家なので、これらの法律で国民の権利利益を守り、行政の適正化を図っています。
行政救済の全体像
行政救済のイメージ図です。

行政救済の大きく3種類
行政救済には大きく分けて3種類あります。
① 行政内部で争う
→ 行政不服審査(審査請求など)
② 裁判で処分を争う
→ 行政事件訴訟(取消訴訟など)
③ 損害を金銭で回復
→ 国家賠償
行政の過ちによって、選択できる行政救済が変わるので、それぞれの要件を理解することが重要です。
制度ごとの役割
行政不服審査(内部救済)
行政不服審査は、行政内部で見直しを求める制度です。 行政不服審査法では、審査請求・再調査の請求・再審査請求の3種類があります。
特徴:
- 手続きが簡単
- 費用が安い
- 迅速
- 違法な処分だけではなく不当な処分も対象
※審査請求自体は無料で行えますが、専門家への相談料や、書類の閲覧・コピーに費用がかかります。
行政事件訴訟(司法救済)
行政事件訴訟は裁判所に判断してもらう制度です。 行政事件訴訟は原則、違法性のみが対象となります。 行政不服審査との違いに注意が必要です。
例:
・取消訴訟
・無効等確認訴訟
・義務付け訴訟
国家賠償
国や地方公共団体が、故意または過失があり、国民に損害を与えた場合、金銭で解決する仕組みです。 行政行為の取消ではなく、損害の金銭的回復を目的とする制度です。
例: ・公務員の違法行為で損害が出た場合
・国営公園の遊具の破損を放置し、損害が出た場合
▶国家賠償法1条について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 → 【国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説】
▶国家賠償法2条について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 →国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説【行政書士試験】
▶国家賠償の重要判例を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 →取消訴訟と国家賠償の関係をわかりやすく解説【最判平成22年6月3日 冷凍倉庫事件】
行政不服審査と行政事件訴訟の違い
| 行政不服審査 | 行政事件訴訟 | |
|---|---|---|
| 対象 | 違法 + 不当 | 原則:違法性のみ |
| 申立先 | 行政庁 | 裁判所 |
| 目的 | 簡易・迅速救済 | 法的判断 |
住民監査請求・住民訴訟の位置づけ
行政事件訴訟は、大きく分けて2つに分類されます。
- 主観訴訟 →自分の権利利益を守る訴訟
- 客観訴訟 →行政行為の適正化・法秩序の維持を目的
住民監査請求・住民訴訟は客観訴訟に分類されます。
地方自治体の違法または不当な財務関係に対する救済制度として:
- 住民監査請求
- 住民訴訟
があります。
▶住民監査請求・住民訴訟について知りたい方はこちらの記事もお読みください。 → 【住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説】
▶住民監査請求の判例が知りたい方はこちらの記事もご覧ください。 →最判平10.12.18|住民監査請求が却下された後、もう一度請求できる?【行政書士試験対策】
行政救済の流れ
基本パターン
① 行政処分を受ける
↓
② 行政不服審査or行政事件訴訟
↓
③ 国家賠償(必要なら)
行政不服審査をするか、行政事件訴訟をするかは原則自由です。 同時に行う事も可能ですが、個別の法律に「審査請求の裁決を受けた後にしか訴訟は提起できない」とある場合はできません。(審査請求前置主義)
試験で狙われるポイント
- 行政不服審査法の意義 →国民の権利利益の救済・行政の適正な運営を確保
- 不服審査と訴訟の違い →不服審査は行政内部・訴訟は裁判所
- 国家賠償の位置づけ →金銭で解決
- 救済制度の使い分け →行政事件訴訟は違法のみ、不服審査は不当もOK
- 前置主義 →審査請求前置主義(行政不服審査)個別の法律にある場合 →住民監査前置主義 (住民訴訟) 絶対に先
よくある間違い
× すぐに裁判できるか
→ 行政内部手続が必要な場合あり(審査請求前置主義)
× 国家賠償=行政処分を取り消す制度
→ 違う(損害回復のみ。処分の取消をしたいなら行政不服審査か行政事件訴訟)
まとめ
行政救済法は、
- 行政内部救済(行政不服審査法)
- 司法救済 (行政事件訴訟)
- 損害救済 (国家賠償法)
の3つを中心に構成されています。
行政書士試験では、条文と判例の理解が重要になります。


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