はじめに
「行政法って何を勉強すればいいの?」
「範囲が広すぎてよくわからない…」
このように感じていませんか?
行政書士試験において、行政法は最も重要な科目の一つです。
なぜなら、出題数・配点ともに最も高く、合否を左右する科目だからです。
しかし、「法律が多すぎて全体像がつかめない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
行政法は、個別の法律をバラバラに覚えるのではなく、“全体の流れ”で理解することが重要です。
そこで本記事では、
- 行政法とは何か
- 行政法の全体像
- 各法律の役割
- 試験対策のポイント
を、初心者でも理解できるように行政法をわかりやすく解説します。
行政法とは?【結論】
結論から言うと、行政法という法律は存在しません。
なぜなら、行政活動の範囲が広すぎるため、それぞれの目的に応じた、個別の法律が存在しています。
つまり行政法とは、
国や地方公共団体と個人との関係を規律する、数多くの法律の「総称」です。
「1つの法律名」ではなく、「複数の法律をまとめた分野」と理解するのがポイントです。
たとえば、
- 税金を課す
- 営業許可を出す
- 違反者に処分を行う
といった行政の活動をルール化するのが行政法です。
なお、行政法は「公法」に分類されます。
▶公法と私法の違いについては、
「公法と私法の違いとは?具体例でわかりやすく解説」も参考にしてください。
行政法が重要な理由(試験対策)
行政書士試験では、行政法の比重が非常に大きいです。
- 出題数が多い
- 配点が高い
- 判例問題が多い
そのため、行政法を制することが合格への近道になります。
特に、行政法は「理解型」の科目です。
丸暗記だけでは、試験に対応することは難しく、全体像をつかむことが重要です。
行政法の全体像
行政法は、主に次の5つの分野で構成されています。
① 行政手続法(事前ルール)
② 行政不服審査法(不服申立て)
③ 行政事件訴訟法(裁判)
④ 国家賠償法(損害賠償) ⑤地方自治法(自治体のルール)
この5つの分野は、行政書士試験でも頻出の重要分野です。
例:
- 行政行為に不服がある場合のプロセス
行政の行為
↓
不満がある → 不服申立て
↓
それでもダメ → 訴訟
↓
損害が出た → 賠償請求
この流れを理解することで、各法律の位置づけが一気にわかるようになります。
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 国家賠償法
は行政救済法の一部です。
▶行政救済法についてはこちらの記事で解説しています。 →「行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説」

各法律の役割
行政法を理解するには、各法律の役割を理解することが、重要です。
行政法は似ている条文も多く、個々で理解しようとすると混乱してしまう恐れがあります。
しかし、「この法律は、何のために存在する法律か?」と役割を軸にすると、理解が進みやすくなります。
行政手続法
行政が守るべき手続きのルールを定めた法律です。
対象:
- 処分
- 行政指導
- 届出
- 命令
などが対象になります。
目的:
- 行政運営における公正の確保
- 透明性の向上
- 国民の権利利益の保護
行政手続法1条は、試験でも目的条文を直接問われる可能性があります。
行政不服審査法
行政の処分に不満がある場合の救済手段です。
裁判所を通さずに、行政内部で解決するルールについて定めた法律です。
種類:
- 審査請求
- 再調査の請求
- 再審査請求
目的:
- 簡易迅速
- 公正な手続き
- 権利利益も救済
行政不服審査法の目的条文も行政書士試験で頻出テーマとなっています。
行政事件訴訟法
行政を相手に裁判を起こす場合のルールについて定めた法律です。
行政事件訴訟法には、大きく分けて4つあります。
種類:
- 抗告訴訟
- 当事者訴訟
- 民衆訴訟
- 機関訴訟
特に、抗告訴訟の取消訴訟は最も重要な論点です。
行政事件訴訟法には、他の多くの法律にある目的条文はありません。
▶行政事件訴訟法の要件の一つ、処分性については、 →処分性とは?わかりやすく解説|判断基準・具体例・判例で解説しています。
国家賠償法
違法な行政行為によって損害が生じた場合の賠償ルールです。
公務員の違法行為や公共施設の瑕疵で損害を受けたときに、金銭で解決することを定めた法律です。
▶詳しくは、
→「国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説」 →「国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説」
地方自治法
都道府県や市区町村(地方公共団体)を運営するためのルールです。
行政法の中でも最も条文数が多いですが、試験では3つのポイントが重要です。
- 自治体の組織
- 自治体の事務
- 国と自治体の関係
ポイントを絞って学習することで学習効率が上がります。
判例学習が重要な理由
行政法は、条文だけでなく判例理解が非常に重要です。
なぜなら、
- 条文が抽象的
- 実際の運用は判例で決まる
からです。
これらの論点は、行政書士試験でも頻出であり、得点源になります。
代表的な論点としては、
- 裁量権の逸脱・濫用
- 信義則
- 比例原則
などがあります。
▶裁量権については →「裁量権の逸脱・濫用とは?違い・判断基準・判例を解説」も参考にしてください。
▶信義則については →「信義則とは?信義誠実の原則をわかりやすく解説」も参考にしてください。
▶比例原則については →「比例原則とは?行政法の一般原則をわかりやすく解説」も参考にしてください。
行政法の勉強法(初心者向け)
行政法は、次の順番で学ぶのがおすすめです。
① 全体像を理解(この記事)
② 各法律を学ぶ
③ 論点を理解
④ 判例で深める
この順番を守ることで、知識がバラバラにならず、効率よく理解できます。
まとめ
行政法とは、国や地方公共団体と個人との関係を規律する法律の総称です。
そして最も重要なのは、「全体像」と「流れ」で理解することです。
行政法は、個別の法律を暗記する科目ではなく、「どの場面でどの法律が使われるのか」を理解する科目です。
そして重要なのは、
- 全体像を理解すること
- 流れで覚えること
- 判例とセットで学ぶこと
です。
まずは本記事で全体像を押さえたうえで、各分野の理解を深めることが重要です。


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