はじめに
国家賠償法2条では、公の営造物の設置または管理に瑕疵があり、損害が生じた場合、国や自治体は賠償責任を負います。
▶国家賠償法2条の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。 →国家賠償法2条とは?1条との違い・営造物責任をわかりやすく解説【行政書士試験】
国家賠償法2条では1条とは違い、要件に「故意または過失」、「違法性」は条件ではありません。 つまり国家賠償法2条は、原則として過失の有無を問わない責任(無過失責任に近い責任)とされています。
▶国家賠償法1条の詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。 →国家賠償法とは?国家賠償法1条を噛み砕いて解説
しかし、例外があります。
●不可抗力によるものであることを、立証できる場合は責任を負わない。
不可抗力とは、自然災害や、通常要する注意をしても防ぎきれないことです。
この「不可抗力」が問題となった有名判例が、赤色灯事件(最判昭和50年6月26日)です。
この判例は、過去の行政書士試験でも頻繁に出題されている重要判例です。
事案の概要
この事案は、工事中の県道で赤色灯標柱とバリケードを通行していた自動車が倒し、後続車が回避しようとして、事故を起こしたという内容です。
- 夜間工事中
- 走行中の車両が、工事中を知らせる赤色灯標柱とバリケードを倒した
- 倒れた赤色灯標柱の赤色灯は消えた
- 直後の後続車が直線で倒れている事に気づき、回避しようとし事故を起こす
道路上の瑕疵があったとして、国家賠償法2条に基づいて損害賠償請求を起こした事案です。

争点
●倒れた赤色灯標柱・バリケードは「道路の瑕疵」にあたるか?
争点は、道路管理に瑕疵があったといえるかどうかです。 この判例は赤色灯標柱が倒れていたことが事故の起因ですが、前の車が倒した赤色灯標柱やバリケードを戻す時間がなかったことが、不可抗力になるかどうかが重要になります。
最高裁の結論
結論:
瑕疵にはあたらない
理由:
- 前を走っていた車が、赤色灯標柱などを倒したことが起因の事故
- 道路管理者が原状回復する時間的余裕がなかった
これらの理由で、道路管理の瑕疵は認められませんでした。
判例のポイント
この判例は以下の通りです。
- 瑕疵とは通常有すべき安全性の欠如
- 原状回復まで時間がない場合は直ちに瑕疵にならない
- 不可抗力の場合は責任を負わない
この判例は不可抗力が認められた、判例の一つです。 瑕疵の判断は、事故発生時の具体的状況を踏まえて判断されます。
国家賠償法2条との関係
赤色灯事件は、「管理責任の限界」を示した判例です。
国家賠償法2条は無過失責任が原則ですが、本判例は、道路管理者が通常期待される管理行為を行う時間的余裕がなかった場合には、瑕疵は認められないことを示しました。
赤色灯事件と「瑕疵」の判断基準
国家賠償法2条の瑕疵とは、原則「通常有すべき安全性を欠いている状態」をいいます。 しかし、本判例の場合は道路管理の瑕疵は認められていません。
本判例で、道路管理の瑕疵が認められなかった理由は下記の通りです。
- 道路上に障害物ができた原因は、第三者の行為
- 原状に戻し安全を確保する時間がなかった
この2つが瑕疵が認められず、不可抗力が認められた判断基準になります。
試験で狙われるポイント
- 不可抗力が起因する場合、国家賠償法2条の適用があるのか
- 瑕疵と不可抗力の関係
- 無過失責任と不可抗力の境界線
この3つがポイントになります。
まとめ
赤色灯事件は、国家賠償法2条の「瑕疵」と「不可抗力」を理解するための基本判例です。
瑕疵と不可抗力の関係を理解することで、国家賠償法2条の理解が深まります。

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