処分性の判断方法とは?判例で身につける3つの考え方【行政書士試験】

行政書士試験・法律解説

はじめに

「処分性の基準は覚えたけど、問題になると判断できない…」

「判断基準に自信がない」

このように感じている方は多いと思います。

処分性は、定義を覚えるだけでは足りず、
“どう考えるか”が重要なテーマです。

この記事では、

  • 処分性を判断する具体的な手順
  • 判例への当てはめ方
  • 試験で迷わないコツ

を、初学者でも実践できる形で解説します。

この記事を読めば、処分性の問題を自分で判断できるようになります。

まず処分性の全体像を知りたい方はこちら
処分性とは?わかりやすく解説

処分性の判断方法とは?(結論)

処分性の判断方法フロー
処分性の判断方法

処分性はこの3ステップで判断します。

  1. 行政が国民に一方的に行っているか
  2. その行為で、直接的に権利義務の変動があるか
  3. 対象は特定されているか

この3つを満たすかどうかで判断します。

図解:判断の流れ

処分性判断フロー
処分性判断フロー

この順番で考えるのがコツです。

ステップ① 誰が誰に何をしているか

まず行為の構造を確認します。

■チェックポイント

  • 誰が(行政?)
  • 誰に(国民?内部?)
  • 何をしているか(命令?通知?)


■例

  • 行政 → 国民 → 命令

処分の可能性あり

  • 行政 → 行政内部 → 指示

処分ではない

行政から行政内部への指示は、通達などの内部行為にあたり、原則として処分性は認められません。

通知・通達の処分性についてはこちら
通知・通達とは?処分性との違いをわかりやすく解説

ステップ② その行為だけで何かが決まるか

ここが一番重要で、悩みやすいポイントです。

チェックポイントは、

この行為だけで権利義務が変わるか?

この判断で迷うことが多いです。

重要なのは、

  • 権利義務が変わる準備段階か
  • 権利義務が変わる最終結果

その行為で“完結しているか”が判断のポイントです。

■例

  • 建築確認
    → 建てられるか決まる → YES

建築確認は、建築ができるかどうかの最終結果になるため、処分性が認められます。

  • 都市計画
    → まだ決まらない → NO

将来的には権利義務に影響するかもしれませんが、都市計画の決定の時点では影響がありません。

つまり、
“今この瞬間に決まるか”で判断します。

■図解

処分性の権利義務フロー
処分性の権利義務フロー

処分性は“形式ではなく実質で判断”する。

ステップ③ 対象は特定されているか

対象が特定の人か、不特定多数かの個別具体性のチェックも処分性を判断する重要な要素になります。

■例

  • 特定の人への命令 → YES
  • 地域全体のルール → NO

条例や規則のように不特定多数の人に向けられたルールは原則、処分性に当てはまりません。

しかし、ルールが実質的に特定の誰かを狙っている場合は、個別具体性が認められる場合があります。

【最判平21.11.26】保育所廃止条例の制定行為

誰に向けられているかが重要になります。

判例で実際に当てはめてみる

実際に、

  1. 誰が誰に
  2. 権利が変わるか
  3. 誰に向けているか

を判例に当てはめるとわかりやすくなります。

特にわかりにくい、権利義務の変動については判例に当てはめることで、理解が深まります。

■ 建築確認

① 行政 → 国民 → 許可
② その場で決まる
③ 個別

建築確認は、建物を建てられるかどうかが決まるため、処分性が認められます。

建築確認の処分性についてはこちら
建築確認の処分性とは?わかりやすく解説

■ 都市計画(用途地域)

① 行政 → 地域全体
② まだ決まらない
③ 抽象的

都市計画は一見、処分性が認められそうですが、都市計画が決まった時点では、権利義務が変わるわけではないので処分性が認められません。

都市計画の処分性についてはこちら
都市計画(用途地域)指定の処分性とは?わかりやすく解説

■ 土地区画整理

① 行政 → 土地所有者
② 実質的に影響開始
③ 具体性あり

土地区画整理と都市計画は、似ているイメージがあるかもしれませんが、土地区画整理は、近い将来に高い確実性で権利義務の変更が起こるため、処分性が認められます。

土地区画整理の処分性についてはこちら
土地区画整理事業計画は処分?処分性が認められた理由をわかりやすく解説

■ 通達

① 行政 → 行政内部

この時点で、国民に直接向けられていないため処分性は認められません。

処分性が認められるのが、
行政から国民に一方的に向けられたもの
が要件になります。

通達の処分性の重要判例はこちら
墓地埋葬通達は処分?処分性が否定された理由をわかりやすく解説【最判昭43年12月24日】

図解:まとめ

建築確認 → YES
区画整理 → YES
都市計画 → NO
通達 → NO

よくある間違い

「条例=処分性なし」
→「条例は法律と同じルール(法規範)だから、裁判の対象にならない」という固定観念です。
条例が「特定の対象に対して、他の手続きを挟まずに直接、権利を奪う」性質を持っていれば、実質的に処分とみなされます。

「不利益がある=処分」
→最も多い間違いです。
「嫌な思いをする」「損をする」=「処分性あり」とは限りません。

学習のコツ

処分性については、抽象的な定義を暗記してもよく理解できない部分があります。

「定義」よりも「判例」から理解する方が定着しやすいです。

まとめ

  • 処分性は3ステップで判断
  • 「誰に」「何を」「どの程度」影響するか
  • 判例で当てはめることが重要

「その行為だけで権利が決まるか」で考えるのがコツです。

処分性は、重要判例が多くあるので、判例から定義を逆算して学ぶことで、理解が深まります。

“考え方”を覚えれば全部解けるようになります。

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