住民監査請求と住民訴訟の違いとは?流れ・前置主義をわかりやすく解説【行政書士試験】

行政法解説

はじめに

「住民監査請求と住民訴訟の違いがわからない……」

「住民訴訟は、いきなり提起できるの?」

地方自治法を学習していると、

  • 住民監査請求
  • 住民訴訟
  • 住民監査請求前置主義

の関係で混乱することがあります。

行政書士試験でも頻出テーマですが、制度の流れを理解していないと覚えにくい分野です。

結論からいうと、
住民監査請求は行政内部のチェック制度、住民訴訟は裁判所によるチェック制度です。

そして、原則として住民訴訟を提起する前に住民監査請求をしなければなりません。

このことを、住民監査請求前置主義といいます。

この記事では、

  • 住民監査請求とは何か
  • 住民訴訟との違い
  • 制度の流れ
  • 行政書士試験の重要ポイント

を初学者向けにわかりやすく解説します。

住民訴訟は民衆訴訟の代表例です。民衆訴訟についてはこちら
民衆訴訟とは?意味・具体例・当事者訴訟との違いをわかりやすく解説

住民監査請求と住民訴訟とは?(結論)

まず全体像を押さえることで理解がしやすくなります。

違法・不当な財務会計行為を発見
↓
住民監査請求
↓
監査結果に不服
↓
住民訴訟

つまり、

■住民監査請求
行政内部のチェック

■住民訴訟
裁判所によるチェック

という関係になります。

住民監査請求と住民訴訟の全体像
住民監査請求と住民訴訟の全体像

住民監査請求とは?

住民監査請求とは、
自治体の財務会計上の行為または怠る事実について違法または不当な点があると考えた場合に、監査委員へ監査を求める制度です。

財務会計上の行為とは、

  • 公金の支出
  • 契約の締結
  • 財産の取得や管理

などを指します。

住民監査請求の全体像
住民監査請求の全体像

ポイント

  • 裁判ではない
  • 行政内部での救済制度
  • 住民1人で請求できる
  • 住民なら外国人でもできる
  • 地方自治法242条

住民監査請求の要件

請求できる人

■普通地方公共団体の住民

普通公共団体の住民とは、
その都道府県や市区町村などに住所を有する個人や法人を指します。

住民の選挙権は不要です。

つまり、
未成年者でも外国籍の人も請求することができます。

請求先

監査委員に対して請求します。

請求期間

原則として、
財務会計上の行為があった日、または終わった日から1年以内です。

ただし、
「怠る事実」については1年制限がありません。

住民監査請求後の流れ

監査委員は監査を行います。

理由がない場合

  • 請求人へ通知
  • 公表

理由がある場合

  • 議会
  • 執行機関

などに対して是正措置を勧告します。

監査期間

「住民監査請求の日から60日以内」です。

行政書士試験でも頻出です。

住民訴訟とは?

住民訴訟とは、
住民監査請求をしても問題が解決しない場合に、裁判所へ提起する訴訟です。

地方自治法242条の2に規定されています。

住民訴訟の全体像
住民訴訟の全体像

住民訴訟の目的

住民訴訟では、違法な財務会計行為について、

  • 違法な財務会計行為の差止請求
  • 違法な支出などの取消し・無効確認請求
  • 職員等への損害賠償請求
  • 不当利得返還請求

などを求めることができます。

住民監査請求前置主義とは?

ここが最重要ポイントです。

住民訴訟は、
原則として住民監査請求を経なければ提起できません。

これを住民監査請求前置主義といいます。

つまり、

いきなり住民訴訟

原則できない

ということです。

住民訴訟を提起できるのは、住民監査請求をした者に限られます。

住民監査請求前置主義とは
住民監査請求前置主義

住民訴訟を提起できる場合

次の場合に住民訴訟を提起できます。

住民訴訟を提起できる場合出訴期間
監査委員の監査の結果・勧告に不服がある場合結果・勧告の通知があった日から30日以内
勧告の措置に不服がある場合措置についての通知があった日から30日以内
住民監査請求があった日から60日以内に監査・審査を行わない場合住民監査請求があった日から60日を経過した日から30日以内
勧告を受けても必要ば措置を行わない場合勧告に示された期間を経過した日から30日以内

住民監査請求と住民訴訟の違い

項目住民監査請求住民訴訟
性質行政内部の監査裁判
判断主体監査委員裁判所
目的是正要求法的責任追及
提起要件住民であれば可能原則として監査請求後

行政書士試験の重要ポイント

重要ポイント①

■ 住民監査請求前置主義

住民訴訟の前に監査請求が必要です。

頻出論点です。

重要ポイント②

■ 住民監査請求できる人

普通地方公共団体の住民です。

選挙権は不要で、外国籍の人も可能です。

重要ポイント③

■ 監査期間

住民監査請求があった日から「60日以内」という数字はよく問われます。

重要ポイント④

■ 住民監査請求の対象

財務会計上の行為または怠る事実です。

学習して難しかった点

私が最初に混乱したのは、
「住民監査請求と住民訴訟は何が違うのか」という点でした。

しかし、

■住民監査請求
→ 行政内部チェック

■住民訴訟
→ 裁判所によるチェック

と整理すると理解しやすくなりました。

また、
「まず監査、ダメなら訴訟」という流れで覚えると忘れにくくなります。

学習のコツ

まずは、

① 行政救済法

② 行政事件訴訟法

③ 民衆訴訟

④ 住民監査請求・住民訴訟

の順で学習すると理解しやすいです。

住民監査請求前置主義が重要です。

行政書士試験想定問題

Q
住民訴訟は、住民監査請求を経ることなく提起することができる。
A

誤り。
住民訴訟は原則として住民監査請求を経なければ提起できません(住民監査請求前置主義)。

Q
住民監査請求は、普通地方公共団体の住民であれば請求できる。
A

正しい。
選挙権の有無は問いません。

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行政事件訴訟法とは?全体像をわかりやすく解説

民衆訴訟とは?意味・具体例・当事者訴訟との違いをわかりやすく解説

■重要判例

最判平10.12.18|住民監査請求が却下された後、もう一度請求できる?

記帳所事件とは?天皇に民事裁判権は及ぶのかをわかりやすく解説【最判平成元年11月20日】

まとめ

住民監査請求と住民訴訟は、自治体の財務会計行為をチェックするための重要な制度です。

  • 住民監査請求は行政内部の監査制度
  • 住民訴訟は裁判所による救済制度
  • 原則として住民監査請求が先
  • 住民監査請求前置主義が重要
  • 「まず監査、ダメなら訴訟」で覚える

行政書士試験では、制度の流れと住民監査請求前置主義が頻出です。全体像を整理しながら学習を進めましょう。

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