はじめに
「民衆訴訟って何を争う訴訟なの?」
「住民訴訟との関係がよくわからない……」
行政事件訴訟法を学習していると、
- 抗告訴訟
- 当事者訴訟
- 民衆訴訟
- 機関訴訟
という分類が登場します。
しかし、行政書士試験では抗告訴訟が中心に出題されるため、民衆訴訟は後回しになりがちです。
その結果、
「住民訴訟は知っているけれど、民衆訴訟との関係がわからない」
という受験生も少なくありません。
この記事では、
- 民衆訴訟とは何か
- 抗告訴訟との違い
- 当事者訴訟との違い
- 代表例
- 行政書士試験の重要ポイント
を初学者向けにわかりやすく解説します。
民衆訴訟とは?(結論)
結論からいうと、
自己の権利利益とは関係なく、法令に違反する行政行為の是正を求める訴訟です。
行政事件訴訟法5条では、
国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟
とされています。
つまり、
自分の権利を守るためではなく、行政の適法な運営を確保するために提起する訴訟です。
民衆訴訟は、自己の権利利益の救済を目的とする「主観訴訟」ではなく、行政の適法性を確保するための「客観訴訟」に分類されます。

なぜ民衆訴訟が必要なのか
通常の訴訟では、
「自分の権利利益が侵害されていること」が必要です。
例えば、
- 営業停止処分を受けた
- 許可申請を拒否された
などの場合です。
しかし、
行政の違法行為の中には、個人の権利侵害だけでなく、社会全体の利益に関わるものもあります。
そこで、
公益のために行政の違法をチェックする制度として、民衆訴訟が設けられています。

民衆訴訟の特徴
民衆訴訟には大きな特徴があります。
特徴① 自己の権利利益は不要
通常の訴訟では、
「法律上の利益」が必要です。
しかし民衆訴訟では、自分の権利利益が侵害されていなくても提起できます。
特徴② 法律の根拠が必要
誰でも自由に提起できるわけではありません。
法律で特別に認められた場合に限られます。
つまり、
法律に民衆訴訟ができることが定められていないと裁判できません。
民衆訴訟の代表例
行政書士試験では、
住民訴訟が代表例として出題されます。

住民訴訟
地方公共団体の違法な財務会計行為について、住民が提起する訴訟です。
例えば、
- 違法な公金支出
- 不当な契約締結
- 財産管理の不備
などが問題になります。
なお、住民訴訟は原則として住民監査請求を経なければ提起できません(住民監査請求前置主義)。
▶住民監査請求と住民訴訟についてはこちら
→住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説
選挙訴訟
公職選挙法に基づき、選挙の効力などを争う訴訟です。
こちらも民衆訴訟に分類されます。
抗告訴訟との違い
ここは試験でよく問われます。
| 項目 | 民衆訴訟 | 抗告訴訟 |
|---|---|---|
| 目的 | 公益の実現 | 自己の権利利益の救済 |
| 法律上の利益 | 不要 | 必要 |
| 代表例 | 住民訴訟 | 取消訴訟 |
| 性質 | 客観訴訟 | 主観訴訟 |
抗告訴訟と民衆訴訟のイメージ
■抗告訴訟
自分が困っている
↓
自分を救済してほしい
■民衆訴訟
行政がおかしい
↓
適法に運営してほしい
▶抗告訴訟についてはこちら
→抗告訴訟とは?種類・流れをわかりやすく解説
当事者訴訟との違い
こちらも比較されやすいです。
| 項目 | 民衆訴訟 | 当事者訴訟 |
|---|---|---|
| 対象 | 行政の適法性 | 公法上の法律関係 |
| 目的 | 公益の実現 | 権利義務の確認 |
| 自己の利益 | 不要 | 必要 |
| 代表例 | 住民訴訟 | 年金受給権確認訴訟 |
▶当事者訴訟についてはこちら
→当事者訴訟とは?種類・抗告訴訟との違いをわかりやすく解説
民衆訴訟は客観訴訟
ここは試験対策として重要です。
行政事件訴訟は大きく2つに分類されます。
主観訴訟
主観訴訟は自分の権利利益を守るための訴訟です。
- 抗告訴訟
- 当事者訴訟
客観訴訟
客観訴訟は自分の権利利益に関係なく、行政の適法性を確保するための訴訟です。
- 民衆訴訟
- 機関訴訟
となります。
行政書士試験の重要ポイント
重要ポイント①
■ 民衆訴訟は公益目的
自己の権利利益ではなく、行政の適法な運営を目的とします。
重要ポイント②
■ 法律上の利益は不要
抗告訴訟との違いです。
頻出論点です。
重要ポイント③
■ 法律に定めがある場合のみ提起可能
自由に提起できるわけではありません。
重要ポイント④
■ 住民訴訟が代表例
行政書士試験では、住民訴訟との関係が重要です。
学習して難しかった点
私が最初に混乱したのは、
「自分の利益がなくても訴訟を起こせるのか?」という点でした。
しかし民衆訴訟は、
個人救済ではなく、行政の適法性確保が目的です。
この視点で見ると、
抗告訴訟や当事者訴訟との違いも理解しやすくなりました。
学習のコツ
おすすめの順番は、
① 行政事件訴訟法
↓
② 抗告訴訟
↓
③ 当事者訴訟
↓
④ 民衆訴訟
です。
まずは、
「誰のための訴訟なのか」を意識すると整理しやすくなります。

行政書士試験想定問題
- Q民衆訴訟は、自己の法律上の利益を有する者のみが提起できる。
- A
誤り。
民衆訴訟は、自己の権利利益の救済ではなく、行政の適法性確保を目的とする訴訟です。
- Q民衆訴訟は、法律に定めがなくても提起することができる。
- A
誤り。
民衆訴訟は、法律で特別に認められた場合に限り提起できます。
- Q民衆訴訟は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で何人も提起することができる。
- A
誤り。
民衆訴訟は自己の法律上の利益がなくても提起できますが、法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起することができます。
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▶住民監査請求と住民訴訟とは?違い・流れを行政書士試験向けにやさしく解説
▶行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説
まとめ
民衆訴訟は、
自己の権利利益ではなく、行政の適法性を確保するための訴訟です。
- 公益目的の訴訟
- 法律上の利益は不要
- 法律に定めがある場合のみ提起可能
- 住民訴訟が代表例
- 抗告訴訟との違いが重要
行政書士試験では、
「自分の利益を守る訴訟か、行政の適法性を確保する訴訟か」を区別できるようになることが得点アップにつながります。

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