当事者訴訟とは?種類・抗告訴訟との違いをわかりやすく解説【行政書士試験向け】

行政法解説

はじめに

「当事者訴訟って何を争う訴訟なの?」

「取消訴訟や義務付け訴訟との違いがよくわからない……」

行政事件訴訟法を学習していると、

  • 抗告訴訟
  • 当事者訴訟
  • 民衆訴訟
  • 機関訴訟

とさまざまな訴訟類型が登場します。

しかし、行政書士試験では抗告訴訟が中心に出題されるため、当事者訴訟は後回しになりがちです。

その結果、
「行政事件訴訟法の全体像は理解したけれど、当事者訴訟だけよくわからない」
という受験生も少なくありません。

この記事では、

  • 当事者訴訟とは何か
  • 抗告訴訟との違い
  • 確認訴訟との関係
  • 実質的当事者訴訟と形式的当事者訴訟
  • 行政書士試験の重要ポイント

を初学者向けにわかりやすく解説します。

この記事を読めば、当事者訴訟の位置づけがスッキリ整理できるようになります。

当事者訴訟とは?(結論)

結論からいうと、
公法上の法律関係について争う訴訟です。

行政事件訴訟法4条は、
公法上の法律関係に関する訴訟を当事者訴訟として定めています。

つまり、
行政処分そのものを争うのではなく、行政と国民との間に存在する法律関係を争う訴訟です。

当事者訴訟のイメージ
当事者訴訟のイメージ

抗告訴訟との違い

ここが重要なポイントです。

抗告訴訟との違い
抗告訴訟との違い

抗告訴訟

行政処分

違法だから争う

  • 運転免許取消処分
  • 営業停止処分
  • 公文書非公開決定

などが抗告訴訟に当たります。

当事者訴訟

法律関係

権利義務を争う

  • 公務員の給与請求
  • 年金受給権の確認

などがあります。

つまり、

抗告訴訟
処分を争う

当事者訴訟
法律関係を争う

という違いがあります。

なぜ当事者訴訟が必要なのか

行政に関する争いがすべて「処分」から生じるとは限りません。

例えば、

  • 年金を受け取る権利があるか
  • 公務員給与を受け取る権利があるか
  • 生活保護費を受け取る権利があるか

などは、

処分の取消しよりも、
「権利があること」を確認することが重要になります。

そこで利用されるのが当事者訴訟です。

当事者訴訟の種類

当事者訴訟には大きく2種類あります。

当事者訴訟の比較
2つの当事者訴訟比較

① 実質的当事者訴訟

最も重要なのはこちらです。

実質的当事者訴訟とは、
公法上の法律関係を直接争う訴訟です。

例えば、

  • 年金受給権確認訴訟
  • 生活保護受給権確認訴訟
  • 公務員の地位確認訴訟

などがあります。

イメージ

権利がある

行政が認めない

法律関係を争う

② 形式的当事者訴訟

形式的当事者訴訟とは、
法律の定めによって当事者訴訟として扱われる訴訟です。

代表例として、
土地収用法における補償金額の争いがあります。

補償金額を決定するのは行政ですが、補償に不満がある場合は、土地収用事業者を相手に提起するように法律に定められています。

イメージ

補償金額に不満

法律で当事者訴訟扱い

行政書士試験では、
実質的当事者訴訟が圧倒的に重要です。

確認訴訟との関係

当事者訴訟では、
確認訴訟の形で提起されることが多いです。

例えば、

  • 年金受給権があることを確認したい
  • 公務員の地位があることを確認したい

などです。

つまり、
法律関係を確認してもらうために利用されることが多い訴訟類型です。

抗告訴訟との比較

項目当事者訴訟抗告訴訟
対象公法上の法律関係処分・裁決
目的権利義務の確認処分の取消し
処分性不要必要
出訴期間なしあり
原告適格法律上の利益を有する者法律上の利益を有する者

取消訴訟との違い

ここも試験で問われます。

取消訴訟は、

違法な処分

取り消す

訴訟です。

一方、

当事者訴訟は、

権利義務

確認する

訴訟です。

■抗告訴訟の場合

生活保護申請

却下処分

取消訴訟

■当事者訴訟の場合

生活保護を受ける権利がある

当事者訴訟

というイメージです。

行政書士試験の重要ポイント

重要ポイント①

■ 当事者訴訟は公法上の法律関係を争う

最重要ポイントです。

処分ではなく、法律関係を争います。

例:

土地収用に不満がある場合

取消訴訟

■土地収用の補償額に不満がある場合

形式的当事者訴訟

重要ポイント②

■ 処分性は不要

取消訴訟では処分性が必要です。

しかし当事者訴訟では、処分性は問題になりません。

重要ポイント③

■ 実質的当事者訴訟が重要

試験では、

形式的当事者訴訟よりも、実質的当事者訴訟が頻出です。

重要ポイント④

■ 出訴期間がない

取消訴訟との違いとして頻出です。

当事者訴訟は処分の取消しを求める訴訟ではないため、取消訴訟のような出訴期間の制限はありません。

重要ポイント⑤

■ 行政事件訴訟法の分類

行政事件訴訟法の分類
行政事件訴訟法の分類

4つの訴訟型を整理することが重要です。

学習して難しかった点

私が最初に混乱したのは、
「当事者訴訟はどのような場合に使うのか?」という点でした。

学習を進めるにつれて、「取消訴訟を提起するには処分が要件」だということを理解しました。

取消訴訟は「処分」を争う制度、

当事者訴訟は「法律関係」を争う制度、

と整理すると一気に理解が深まりました。

特に、
「処分性が必要かどうか」で区別すると理解しやすくなります。

学習のコツ

おすすめの順番は、

① 行政事件訴訟法

② 抗告訴訟

③ 取消訴訟

④ 義務付け訴訟

⑤ 差止訴訟

⑥ 無効等確認訴訟

⑦ 不作為の違法確認訴訟

⑧ 当事者訴訟

です。

まず抗告訴訟を理解してから学習すると、当事者訴訟との違いが見えやすくなります。

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不作為の違法確認訴訟とは?要件・義務付け訴訟との違いをわかりやすく解説

まとめ

当事者訴訟は、
公法上の法律関係を争う訴訟です。

  • 処分ではなく法律関係を争う
  • 処分性は不要
  • 実質的当事者訴訟が重要
  • 取消訴訟との違いが頻出
  • 行政事件訴訟法全体の中で位置づけを理解することが大切

行政書士試験では、
「処分を争うのか、法律関係を争うのか」を区別できるようになると理解しやすくなります。

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