標準処理期間とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説【行政書士試験】

行政法解説

はじめに

「標準処理期間って何?」

「審査基準と同じように、行政庁は必ず定めなければならないの?」

行政書士試験の勉強をしていると、

  • 標準処理期間
  • 審査基準
  • 申請に対する処分
  • 理由提示

といった行政手続法の用語が登場します。

その中でも「標準処理期間」は、義務なのか努力義務なのかが行政書士試験で問われやすい論点です。

結論からいうと、標準処理期間とは、申請が行政庁の事務所に到達してから、その申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間です。

そして重要なのが、
標準処理期間を定めること自体は努力義務という点です。

ただし、標準処理期間を定めた場合には、公にしておかなければなりません。

この記事では、

  • 標準処理期間とは何か
  • なぜ標準処理期間が必要なのか
  • 設定と公表のルール
  • 審査基準との違い
  • 行政書士試験の重要ポイント

を初心者向けにわかりやすく解説します。

標準処理期間とは?【結論】

結論:
標準処理期間とは、申請が行政庁の事務所に到達してから、その申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間です。

例えば、営業許可を申請したとします。

申請者としては、

「許可されるまでどれくらいかかるの?」という点が気になります。

1週間なのか、1か月なのか、それとも数か月なのか分からなければ、今後の予定を立てにくくなります。

そこで、処分までに通常どれくらいの期間が必要なのかについて、行政庁が目安を示すのが標準処理期間です。

標準処理期間の結論
標準処理期間の結論

なぜ標準処理期間が必要なのか

もし申請してから、
「いつ処分されるのか分からない」という状態が続いたら、申請者は困ってしまいます。

例えば、飲食店の営業許可を申請している場合、処分される時期がまったく分からなければ、

  • 開店日の決定
  • 従業員の採用
  • 商品の仕入れ
  • 広告や宣伝

などの準備もしにくくなります。

標準処理期間が示されていれば、
「通常はこのくらいの期間がかかる」という目安が分かります。

標準処理期間が示されることで、申請者は処分までのおおよその期間を把握しやすくなります。

標準処理期間の設定は努力義務

ここが行政書士試験で最も重要なポイントです。

行政手続法6条では、行政庁は、申請がその事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるものとされています。

つまり、
標準処理期間の設定 → 努力義務です。

「必ず定めなければならない」という義務ではありません。

ここは審査基準との違いとしてよく問われます。

標準処理期間を定めた場合は公にする

標準処理期間を定めること自体は努力義務です。

しかし、標準処理期間を定めた場合には、公にしておかなければなりません。

整理すると、

  • 標準処理期間を定める → 努力義務
  • 標準処理期間を定めた場合に公にする → 義務

となります。

行政書士試験では、この2つを入れ替えた問題に注意しましょう。

「設定が努力義務だから、公にすることも努力義務」と考えないことが重要です。

標準処理期間のポイント
標準処理期間のポイント

経由機関がある場合はどうなる?

申請によっては、申請書を直接処分庁へ提出するのではなく、別の行政機関を経由して提出する場合があります。

このような場合には、
経由機関の事務所に到達してから、処分庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間についても定めるよう努めるものとされています。

つまり、

申請者
↓
経由機関
↓
処分庁
↓
処分

という流れになっている場合です。

この場合、

  • 経由機関から処分庁までの期間
  • 処分庁に到達してから処分までの期間

という2つの期間が問題になります。

細かい部分ですが、行政書士試験では条文知識として押さえておきたいポイントです。

標準処理期間を過ぎたら自動的に許可される?

ここは誤解しやすいところです。

標準処理期間を過ぎたからといって、自動的に申請が許可されるわけではありません。

標準処理期間は、あくまで「通常どれくらいの期間が必要なのか」を示す目安です。

例えば、
「標準処理期間30日」と定められていたとしても、31日目になった瞬間に自動的に許可が成立するわけではありません。

また、標準処理期間は、行政庁が必ずその期間内に処分しなければならないという法定の期限そのものでもありません。

標準処理期間=処分までの目安と理解しておきましょう。

標準処理期間と審査基準の違い

行政書士試験では、標準処理期間と審査基準の違いが重要です。

審査基準

申請に対して、
「許可するかどうか」を判断するための基準です。

審査基準を定めることは義務です。

標準処理期間

申請に対する処分まで、
「通常どれくらい時間がかかるか」を示すものです。

標準処理期間を定めることは努力義務です。

整理すると、

項目審査基準標準処理期間
何を示す?許認可等をするかどうかの判断基準処分までの標準的な期間
設定義務努力義務
公にすること原則として義務定めた場合は義務
イメージ許可する?何日くらい?

特に、

  • 審査基準=設定義務
  • 標準処理期間=設定は努力義務

という違いを覚えておきましょう。

▶審査基準についてはこちら
→審査基準とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説

標準処理期間と申請に対する処分の関係

標準処理期間は、「申請に対する処分」に関するルールの一つです。

申請に対する処分では、

申請
↓
審査
↓
許可・不許可

という流れがあります。

このとき、

  • 何を基準に判断するのか → 審査基準
  • 通常どれくらいで処分するのか → 標準処理期間

という関係になります。

さらに、申請を拒否する場合には、原則として理由提示も必要です。

そのため、

申請に対する処分

↓

審査基準

↓

標準処理期間

↓

理由提示

と関連づけて学習すると、行政手続法の知識を整理しやすくなります。

▶ 申請に対する処分とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説

▶ 理由提示とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説

行政書士試験の重要ポイント

重要ポイント①

標準処理期間は、申請から処分までに通常要すべき標準的な期間です。

処分までの目安を示すものと考えると分かりやすいです。

重要ポイント②

標準処理期間の設定は努力義務です。

行政庁が必ず定めなければならないわけではありません。

重要ポイント③

標準処理期間を定めた場合には、公にしておかなければなりません。

設定は努力義務ですが、設定した場合に公にすることは義務です。

重要ポイント④

審査基準の設定は義務です。

標準処理期間との違いをセットで覚えましょう。

重要ポイント⑤

標準処理期間を過ぎても、自動的に許可されるわけではありません。

標準処理期間は法定の処理期限そのものではなく、通常要すべき期間の目安です。

重要ポイント⑥

経由機関がある場合の期間にも注意が必要です。

経由機関から処分庁までに通常要すべき標準的な期間についても、定めるよう努めるものとされています。

行政書士試験で混同しやすいポイント

私が最初に混同しやすいと感じたのは、
「標準処理期間を定めること」と「定めた標準処理期間を公にすること」です。

どちらも努力義務のように感じてしまいますが、実際には違います。

  • 設定 → 努力義務
  • 設定した場合の公表 → 義務

と分けて覚えると整理しやすくなります。

さらに、審査基準と比較すると、

  • 審査基準 → 設定は義務
  • 標準処理期間 → 設定は努力義務

という違いがあります。

私は、

  • 審査基準 → 許可する?
  • 標準処理期間 → 何日くらい?

と役割から考えると区別しやすくなりました。

行政書士試験では「義務」と「努力義務」が入れ替えられることがあるため、条文の言葉まで意識して覚えておくことが重要です。

行政書士試験想定問題

Q
行政庁は、標準処理期間を必ず定めなければならない。
A

×
標準処理期間を定めることは努力義務です。

Q
行政庁が標準処理期間を定めた場合には、これを公にしておかなければならない。
A

〇
標準処理期間の設定自体は努力義務ですが、定めた場合には公にしておく必要があります。

Q
審査基準と標準処理期間は、いずれも設定することが努力義務である。
A

×
審査基準の設定は義務ですが、標準処理期間の設定は努力義務です。

Q
標準処理期間を経過すれば、申請に対する許可があったものとみなされる。
A

×
標準処理期間は通常要すべき期間の目安であり、期間を経過しただけで自動的に許可されるわけではありません。

Q
申請が経由機関を経て処分庁へ到達する場合、行政庁は経由機関から処分庁までに通常要すべき標準的な期間についても定めるよう努めなければならない。
A

〇
経由機関がある場合についても、行政手続法6条に規定があります。

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▶ 理由提示とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説

関連論点

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まとめ

標準処理期間とは、申請が行政庁の事務所に到達してから、その申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間です。

ポイントを整理すると、

  • 申請に対する処分に関するルール
  • 処分までに通常かかる期間の目安
  • 標準処理期間の設定は努力義務
  • 定めた場合には公にしておく必要がある
  • 審査基準の設定は義務
  • 標準処理期間を過ぎても自動的に許可されるわけではない
  • 経由機関がある場合についても規定がある

となります。

行政書士試験では、特に、

  • 審査基準の設定=義務
  • 標準処理期間の設定=努力義務
  • 標準処理期間を定めた場合の公表=義務

という違いが重要です。

まずは、

  • 審査基準=許可する?
  • 標準処理期間=何日くらい?

と役割で区別しましょう。

そのうえで「義務」と「努力義務」の違いまで整理しておくと、行政手続法の問題を解きやすくなります。

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