はじめに
「行政手続法って何を定めている法律なの?」
「行政法の中でも苦手…」
行政書士試験の勉強を始めると、
- 行政手続法
- 行政不服審査法
- 行政事件訴訟法
- 行政指導
など、似た名前の法律がたくさん出てきます。
その中でも行政手続法は、
「行政庁が処分などをするときのルール」を定めた重要な法律です。
結論からいうと、
行政手続法は、行政庁が勝手な判断で国民に不利益を与えないようにするための手続ルールです。
行政法の学習では、
- 行政処分
- 行政指導
- 聴聞
- 弁明の機会
などの理解につながる重要分野です。
この記事では、
- 行政手続法とは何か
- なぜ必要なのか
- 行政手続法の全体像
- 試験でよく出るポイント
を初心者向けにわかりやすく解説します。
行政手続法とは?【結論】
結論:
行政手続法とは、行政庁が処分や行政指導を行う際のルールを定めた法律です。
行政庁には大きな権限があります。
しかし、
行政庁が自由に処分できると、国民の権利や利益が不当に侵害されるおそれがあります。
そこで、
- 事前に理由を示す
- 意見を聞く
- 公平な手続を行う
などのルールを定めたのが行政手続法です。
なぜ行政手続法が必要なのか
例えば、
飲食店が営業許可を取り消される場面で考えてみます。
ある日突然、
通常通り営業をしていて「今日から営業停止です」と言われたら困ります。
理由も分からず反論もできません。
そこで行政手続法は、行政庁が不利益な処分を行う場合には、
- 理由を示す
- 意見を述べる機会を与える
などの手続を義務付けています。
つまり、
行政手続法は行政の権力から国民を守るためのルールを定めた法律なのです。
行政手続法の全体像
行政手続法は大きく5つの分野に分けられます。

① 申請に対する処分
国民が許可や認可を申請した場合のルールです。
例えば、
- 建築確認
- 飲食店営業許可
- 運転免許申請
などです。
行政庁は、
- 審査基準を定める
- 標準処理期間を設定するよう努める
などの義務を負います。
▶申請に対する処分についてはこちら
→申請に対する処分とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説
② 不利益処分
国民に不利益を与える処分のルールです。
例えば、
- 営業停止
- 許可取消し
- 業務改善命令
などがあります。
行政庁は処分前に、
- 聴聞
- 弁明の機会の付与
を行わなければならない場合があります。
▶不利益処分についてはこちら
→不利益処分とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説
③ 行政指導
行政指導とは、
行政庁が相手方の任意の協力を求める行為です。
例えば、
- 騒音対策の要請
- 工事計画の見直し要請
- 自主的な改善の要請
などです。
行政指導には法的強制力はありません。
しかし実際には大きな影響力を持つため、行政手続法で一定のルールが設けられています。
▶行政指導についてはこちら
→行政指導とは?意味・具体例・行政手続法との関係をわかりやすく解説
④ 届出
一定の事項を行政庁に知らせる制度です。
例えば、
- 飲食店の廃業届
- 法人設立届
などがあります。
届出が法令上の要件を満たしていれば、行政庁は原則として受理しなければなりません。
⑤命令等
「命令等」とは、
国民に義務を課したり権利を制限したりするような、一般的なルールのことです。
- 法律に基づく命令
- 審査基準
- 行政指導指針
などがあります。
命令等を制定する場合には、原則として「意見公募手続(パブリックコメント)」が必要です。
これは、国民から広く意見を募集し、その内容を考慮したうえでルールを制定する制度です。
行政書士試験では「命令等=パブリックコメント」が頻出です。
行政手続法と行政救済法の違い
初学者が混同しやすいポイントです。

行政手続法
処分する前のルール
↓
事前の手続
行政救済法
処分された後のルール
↓
不服申立て
↓
取消訴訟
つまり、
- 行政手続法は予防
- 行政救済法は事後救済
と考えると理解しやすくなります。
▶行政救済法についてはこちら
→行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説
行政手続法でよく出る用語
聴聞
行政庁が相手方の意見を正式に聞く手続です。
主に重い不利益処分で行われます。
弁明の機会の付与
聴聞より簡易な手続です。
相手方に反論の機会を与えます。
理由提示
行政庁は処分の理由を示さなければならない場合があります。
なぜ不許可になったのかが分からなければ、国民は反論や不服申立てができないためです。
行政書士試験でも重要論点の一つです。
行政指導
任意の協力を求める行為です。
強制ではありません。
行政書士試験の重要ポイント
重要ポイント①
■ 行政手続法の目的条文
行政手続法1条1項の目的条文が試験に頻出です。
- 行政運営における公正の確保と透明性
- 国民の権利利益の保護
このフレーズが重要です。
重要ポイント②
■ 行政手続法は処分前のルール
行政庁が処分する際の手続を定める法律です。
重要ポイント③
■ 申請に対する処分
審査基準や標準処理期間の設定が、義務なのか努力義務なのかが重要です。
- 審査基準の設定→義務
- 標準処理期間→努力義務
重要ポイント④
■ 不利益処分
不利益処分がされた場合の聴聞と弁明の機会が重要です。
聴聞→不利益の影響が大
弁明の機会→不利益の影響が小
重要ポイント⑤
■ 行政指導
行政指導には強制力はありません。
行政指導に従うかは任意です。
重要ポイント⑥
■ 行政救済法との違い
- 行政手続法は事前規制
- 行政救済法は事後救済
重要ポイント⑦
■ 行政手続法には適用除外がある
例えば、
- 国会
- 裁判所
- 地方議会
などには原則として適用されません。
行政手続法はすべての行政活動に適用されるわけではない点に注意が必要です。
行政手続法で難しく感じた点
行政手続法の中でも、「申請」と「届出」が混同しました。
行政に提出する行為は同じなのに、「なぜ違うのか?」と疑問に思いました。
しかし、
- 申請→行政が諾否の応答が必要
- 届出→諾否の応答は必要なし
という点を覚えれば理解できます。
行政書士試験想定問題
- Q行政手続法は、行政庁が処分を行った後の不服申立て手続を定める法律である。
- A
誤り。
行政手続法は、処分を行う前の手続を定める法律である。
- Q行政指導には法的強制力がない。
- A
正しい。
行政指導は相手方の任意の協力を求めるものである。
あわせて読みたい
▶行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説
▶行政事件訴訟法とは?全体像をわかりやすく解説【行政書士試験向け】
まとめ
行政手続法は、
行政庁が処分や行政指導を行う際のルールを定めた法律です。
- 行政庁の恣意的な判断を防ぐ
- 国民の権利利益を守る
- 申請に対する処分を規律する
- 不利益処分を規律する
- 行政指導を規律する
- 届出を規律する
行政書士試験では、まず行政手続法の全体像を理解し、
その後に「申請に対する処分」「不利益処分」「行政指導」などの個別論点を学習すると理解しやすくなります。


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