はじめに
「審査基準って何?」
「標準処理期間や処分基準とは何が違うの?」
行政書士試験の勉強をしていると、
- 審査基準
- 標準処理期間
- 処分基準
- 申請に対する処分
といった似た用語が登場します。
その中でも「審査基準」は、行政手続法の「申請に対する処分」を理解するうえで重要な論点です。
結論からいうと、審査基準とは、申請に対して許可・認可などをするかどうかを行政庁が判断するための基準です。
行政庁がその場の判断で許可・不許可を決めてしまうと、公平な行政運営ができません。
そこで行政手続法では、行政庁に審査基準を定めることを求めています。
この記事では、
- 審査基準とは何か
- なぜ審査基準が必要なのか
- 審査基準を定める際のルール
- 標準処理期間・処分基準との違い
- 行政書士試験の重要ポイント
を初心者向けにわかりやすく解説します。
審査基準とは?【結論】
結論:
審査基準とは、申請により求められた許認可等をするかどうかを、行政庁が法令の定めに従って判断するために必要な基準です。
例えば、ある事業を始めるために営業許可を申請したとします。
行政庁は、
「この人には許可する」
「この人には許可しない」
と自由に決められるわけではありません。
一定の基準に従って審査する必要があります。
その判断に使われるのが審査基準です。

なぜ審査基準が必要なのか
もし審査基準がなければ、同じような申請であっても、
- Aさん → 許可
- Bさん → 不許可
のように、担当者によって判断が変わってしまう可能性があります。
これでは申請者も、
「何を満たせば許可されるのか」が分かりません。
そこで行政手続法では、行政庁があらかじめ審査基準を定めることで、行政運営の公正性や透明性を確保しようとしています。
審査基準を定めるのは義務
ここは行政書士試験で非常に重要なポイントです。
行政手続法5条1項では、行政庁は審査基準を定めるものとするとされています。
つまり、
審査基準の設定 → 義務
です。
後ほど説明する「標準処理期間」との違いに注意が必要です。
審査基準はできる限り具体的にする
審査基準は、単に作ればよいわけではありません。
行政手続法では、審査基準について、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならないとされています。
例えば、
「適切な場合には許可する」
だけでは、申請者からすると何が「適切」なのか分かりません。
できる限り具体的な基準を設けることで、行政庁の判断過程が分かりやすくなります。
審査基準は原則として公にする
行政庁は、行政上特別の支障がある場合を除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所に備え付けるなど、適当な方法によって審査基準を公にしておかなければなりません。
審査基準を作っても、申請者が確認できなければ十分とはいえません。
申請者が、
「どのような条件を満たせば許可されるのか」をあらかじめ確認できるようにすることが重要です。
試験では、
「審査基準は必ず公表しなければならない」と出題されたら注意が必要です。
「行政上特別の支障がある場合を除き」という例外があります。
審査基準と標準処理期間の違い
ここは行政書士試験で混同しやすいポイントです。
審査基準
「許可するかどうか」を判断する基準です。
そして、設定は義務です。
標準処理期間
「申請から処分まで通常どれくらい時間がかかるのか」を示すものです。
こちらは、設定するよう努める努力義務です。
整理すると、
| 審査基準 | 標準処理期間 | |
|---|---|---|
| 何を決める? | 許認可等の判断基準 | 処分までの標準的な期間 |
| 設定 | 義務 | 努力義務 |
| 目的 | 判断の公平性・透明性 | 処理期間の目安を示す |
特に、
- 審査基準=義務
- 標準処理期間=努力義務
はセットで覚えておきましょう。
審査基準と処分基準の違い
もう一つ混同しやすいのが「処分基準」です。
名前は似ていますが、使われる場面が違います。
審査基準
申請に対する処分で使います。
例えば、
「営業許可を与えるか」を判断するための基準です。
処分基準
不利益処分で使います。
例えば、
「どのような違反があったら営業停止処分をするか」などを判断するための基準です。
イメージすると、
- 申請 → 審査基準
- 不利益処分 → 処分基準
です。
審査基準と処分基準では「義務」が違う
ここは行政書士試験で特に注意したいところです。
審査基準については、行政庁は定めなければなりません。
一方、処分基準については、
行政庁は定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならないとされています。
つまり、
- 審査基準 → 設定は義務
- 処分基準 → 設定・公表は努力義務
という違いがあります。
名前が似ているため、問題文では入れ替えて出題されることがあります。
審査基準と理由提示の関係
審査基準は、理由提示とも関係します。
例えば、営業許可の申請が拒否されたとします。
行政庁から、
「審査基準に適合しないため不許可です」と言われても、申請者には具体的な理由が分かりません。
どの審査基準に該当し、どのような事実によって申請が拒否されたのかが分かることが重要です。
そのため、審査基準を理解すると「理由提示」の論点も理解しやすくなります。
審査基準は「命令等」に含まれる
行政手続法では、審査基準は「命令等」に含まれています。
命令等には、
- 命令
- 審査基準
- 処分基準
- 行政指導指針
などがあります。
そのため、審査基準を定める場合には、原則として意見公募手続との関係も問題になります。
「申請に対する処分」だけでなく、「命令等」の論点にもつながっていることを押さえておきましょう。
▶ 意見公募手続(パブリックコメント)とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説
行政書士試験の重要ポイント
重要ポイント①
審査基準は、申請に対する処分の判断基準です。
申請された許認可等をするかどうかを判断するために使われます。
重要ポイント②
審査基準を定めることは義務です。
「努力義務」とする問題に注意しましょう。
重要ポイント③
審査基準はできる限り具体的に定めなければなりません。
抽象的な基準だけでは、行政運営の透明性を十分に確保できないためです。
重要ポイント④
審査基準は原則として公にしておかなければなりません。
ただし、行政上特別の支障があるときは例外があります。
重要ポイント⑤
標準処理期間との違いが重要です。
審査基準の設定は義務ですが、標準処理期間の設定は努力義務です。
重要ポイント⑥
処分基準との違いにも注意しましょう。
審査基準は申請に対する処分、処分基準は不利益処分に関係します。
行政書士試験で混同しやすいポイント
私が最初に混同しやすいと感じたのは、
- 「審査基準」
- 「標準処理期間」
- 「処分基準」
の3つです。
どれも行政庁が定めるものなので、名前だけで覚えると混乱しやすくなります。
そこで、
- 審査基準 → 許可する?
- 標準処理期間 → 何日くらい?
- 処分基準 → 不利益処分する?
と役割で分けると整理しやすくなります。
さらに、
- 審査基準の設定=義務
- 標準処理期間の設定=努力義務
- 処分基準の設定=努力義務
という違いまでセットで押さえておくと、問題を解きやすくなります。
行政書士試験想定問題
- Q行政庁は、審査基準を定めるよう努めなければならない。
- A
×
審査基準を定めることは努力義務ではなく、義務です。
- Q行政庁は、審査基準をできる限り具体的なものとしなければならない。
- A
〇
許認可等の性質に照らして、できる限り具体的に定める必要があります。
- Q行政庁は、審査基準を例外なく公にしておかなければならない。
- A
×
原則として公にしておく必要がありますが、行政上特別の支障がある場合には例外があります。
- Q標準処理期間を定めることは、審査基準と同じく行政庁の義務である。
- A
×
標準処理期間を定めることは努力義務です。
- Q処分基準は、申請に対して許認可等をするかどうかを判断するための基準である。
- A
×
処分基準は、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについての基準です。
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まとめ
審査基準とは、申請により求められた許認可等をするかどうかを行政庁が判断するための基準です。
ポイントを整理すると、
- 申請に対する処分で使われる
- 審査基準を定めることは義務
- できる限り具体的に定める必要がある
- 原則として公にしておく必要がある
- 標準処理期間の設定は努力義務
- 処分基準の設定・公表も努力義務
となります。
行政書士試験では、特に「義務」と「努力義務」の入れ替えに注意が必要です。
まずは、
審査基準=許可するかどうかの基準=設定義務と覚えることが重要です。
そのうえで、
- 標準処理期間=どれくらい時間がかかるか=設定は努力義務
- 処分基準=不利益処分の基準=設定・公表は努力義務
と比較すると、行政手続法の知識を整理しやすくなります。

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