はじめに
「不利益処分って何?」
「行政庁は国民に不利益な処分を自由にできるの?」
行政書士試験の勉強をしていると、
- 不利益処分
- 申請に対する処分
- 行政指導
- 聴聞
- 弁明の機会
など、行政手続法のさまざまな制度が出てきます。
その中でも「不利益処分」は、行政手続法の重要分野です。
結論からいうと、
不利益処分とは、行政庁が国民に義務を課したり、権利や利益を制限したりする処分のことです。
行政庁には大きな権限があります。
しかし、自由に不利益処分ができると国民の権利利益が侵害されるおそれがあります。
そこで行政手続法では、
- 聴聞
- 弁明の機会の付与
- 理由提示
などのルールを定めています。
この記事では、
- 不利益処分とは何か
- 具体例
- 行政手続法で定められたルール
- 行政書士試験の重要ポイント
を初心者向けにわかりやすく解説します。
不利益処分とは?【結論】
結論:
不利益処分とは、行政庁が国民に義務を課したり、権利や利益を制限したりする行政処分です。
例えば、
- 営業停止処分
- 営業許可取消し
- 運転免許取消し
- 建築物の除却命令
などがあります。
行政庁が一方的に行うため、国民にとって大きな影響があります。
そのため、行政手続法では公正で慎重な手続が求められています。

なぜルールが必要なのか
例えば、
飲食店が突然営業停止処分になった場合で考えてみます。
理由も分からず、
反論する機会もないまま営業できなくなれば、大きな損害が発生します。
そこで行政手続法では、処分を行う前に、
- 意見を述べる機会を与える
- 処分理由を明らかにする
などのルールを定めています。
これによって、
行政運営の公正性と透明性を確保しています。
行政手続法の主なルール

① 聴聞
許認可の取消しなど、相手方に与える不利益が大きい処分では、原則として聴聞が行われます。
例えば、
- 営業許可取消し
- 免許取消し
などが代表例です。
相手方は、証拠を提出したり、意見を述べたりすることができます。
② 弁明の機会の付与
比較的軽い不利益処分では、弁明の機会が与えられます。
例えば、
- 営業停止
- 業務改善命令
などの場合は、弁明の機会が付与されます。
聴聞ほど正式な手続ではありませんが、相手方が反論する機会を確保する制度です。
③ 理由提示
行政庁が不利益処分を行う場合には、原則として処分理由を示さなければなりません。
理由が分からなければ、相手方は、
- なぜ処分されたのか
- 不服申立てをするべきか
を判断できないためです。
不利益処分を書面で行う場合は、理由も原則として書面で示さなければなりません。
④行政手続法が適用されない不利益処分もある
行政手続法には適用除外があります。
例えば、
- 国会
- 裁判所
- 刑事事件に関する処分
- 税務調査など一定の処分
などには行政手続法が適用されない場合があります。
※詳細は行政手続法3条で定められています。
聴聞と弁明の機会の違い
比較すると理解しやすくなります。
| 聴聞 | 弁明の機会 |
|---|---|
| 不利益が大きい処分 | 比較的軽い処分 |
| 正式な手続 | 簡易な手続 |
| 口頭で意見を述べられる | 原則書面で弁明 |
| 証拠提出も可能 | 意見提出が中心 |
聴聞
重い処分
↓
正式な手続
↓
口頭で意見を述べることができる。
弁明の機会
比較的軽い処分
↓
簡易な手続
↓
原則、書面などで意見を提出します。
行政機関が認めた場合は口頭での弁明も可能です。
行政書士試験では、
聴聞と弁明の機会の付与の違いがよく出題されます。
申請に対する処分との違い
比較すると理解しやすくなります。
申請に対する処分
国民
↓
申請
↓
行政庁
↓
許可・不許可
不利益処分
行政庁
↓
一方的な処分
↓
営業停止
↓
許可取消し
申請に対する処分は、国民の申請が前提です。
一方、
不利益処分は、行政庁が職権で行います。
▶申請に対する処分についてはこちら
→申請に対する処分とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説
行政指導との違い

行政指導との違いも頻出論点です。
▶行政指導についてはこちら
→行政指導とは?意味・具体例・行政手続法との関係をわかりやすく解説
行政書士試験の重要ポイント
重要ポイント①
■ 不利益処分とは
国民に義務を課したり、権利・利益を制限する処分です。
重要ポイント②
■ 聴聞
重い不利益処分では、聴聞が必要です。
重要ポイント③
■ 弁明の機会
比較的軽い不利益処分では、弁明の機会が与えられます。
重要ポイント④
■ 理由提示
不利益処分では、原則として理由提示が必要です。
重要ポイント⑤
■ 行政手続法の目的
行政庁による恣意的な処分を防ぎ、国民の権利利益を保護することです。
行政書士試験で混同しやすいポイント
私は最初、
「聴聞」と「弁明の機会」の違いがなかなか覚えられませんでした。
しかし、
処分が重いほど、手続も手厚くなると考えるようになってから整理できました。
つまり、
- 重い処分 → 聴聞
- 比較的軽い処分 → 弁明の機会
というイメージで覚えると理解しやすくなります。
行政書士試験想定問題
- Q不利益処分を行う場合は、必ず聴聞をしなければならない。
- A
誤り。
比較的軽い不利益処分では、弁明の機会の付与で足りる場合があります。
- Q行政庁は不利益処分をする場合、原則として理由を示さなければならない。
- A
正しい。
行政手続法では、理由提示が原則義務付けられています。
あわせて読みたい
関連法令
▶行政手続法とは?行政庁が処分するときのルールをわかりやすく解説
▶申請に対する処分とは?行政手続法のルールをわかりやすく解説
▶行政指導とは?意味・具体例・行政手続法との関係をわかりやすく解説
まとめ
不利益処分とは、
行政庁が国民に義務を課したり、権利や利益を制限したりする行政処分です。
- 行政手続法の重要分野
- 不利益が大きい処分では聴聞
- 比較的軽い処分では弁明の機会が与えられる
- 原則として理由提示が必要
- 申請に対する処分や行政指導との違いを理解することが重要
行政書士試験では、
- 聴聞
- 弁明の機会
- 理由提示
の違いが頻繁に出題されます。
まずは不利益処分の全体像を理解し、その後に個別論点や判例を学習すると、行政手続法全体を効率よく理解できるようになります。

コメント