はじめに
「申請したのに行政庁が何もしてくれない…」
「行政が放置している場合はどうやって争うの?」
行政事件訴訟法を学習していると、
- 不作為の違法確認訴訟
- 義務付け訴訟
- 取消訴訟
の違いで混乱することがあります。
特に不作為の違法確認訴訟は、行政庁が申請に対して何も判断しない場合に利用される制度であり、義務付け訴訟との関係が行政書士試験でも頻繁に問われます。
この記事では、
- 不作為とは何か
- 不作為の違法確認訴訟の要件
- 義務付け訴訟との違い
- 行政書士試験の重要ポイント
を初学者向けにわかりやすく解説します。
不作為とは?(結論)
結論からいうと、
行政庁が申請に対して相当の期間内に何らの処分もしないことをいいます。
例えば、
- 営業許可申請をした
- 建築確認申請をした
- 開発許可申請をした
にもかかわらず、行政庁が許可も不許可も出さずに放置している状態です。
このような状態を「不作為」といいます。

不作為の違法確認訴訟とは?
不作為の違法確認訴訟とは、
行政庁の不作為が違法であることを裁判所に確認してもらう訴訟です。
行政事件訴訟法では、
行政庁が申請に対して判断しないまま放置している場合に利用できます。
つまり、
行政庁の「何もしないこと」そのものを争う訴訟です。
なぜ不作為の違法確認訴訟が必要なのか
昔の制度では、
申請
↓
行政庁が放置
↓
処分が存在しない
↓
取消訴訟できない
という問題がありました。
取消訴訟は、
「処分」が存在しなければ提起できません。
しかし不作為の場合は、
争うべき「処分」自体がありません。
そこで、
行政庁の放置そのものを争うために、不作為の違法確認訴訟が設けられています。

不作為の違法確認訴訟の要件
行政書士試験ではここが重要です。
① 法令に基づく申請があること
まず、
法令に基づく申請が必要です。
例えば、
- 営業許可申請
- 建築確認申請
などです。
単なる、行政庁への相談や要望では足りません。
原告適格は、
「処分又は裁決について申請をした者」に限られます。
つまり、
第三者には原告適格は認められません。
② 相当の期間が経過していること
申請後すぐに提起できるわけではありません。
行政庁が判断するための合理的な期間が必要です。
この期間を
相当の期間といいます。
③ 処分や裁決がされていないこと
許可でも不許可でも、
何らかの処分がされれば不作為ではありません。
行政庁が何も判断していないことが必要です。
不作為の違法確認訴訟の効果
裁判所が、
「不作為は違法である」と判断した場合、行政庁は不作為状態を解消することが求められます。
重要なことは、
「不作為状態を解消すること」ということです。
判決だけでは許可されるわけではない
不作為の違法確認訴訟で勝訴しても、自動的に許可が出るわけではありません。
裁判所は、
「放置は違法だ」と判断し、不作為状態を解消することが求められます。
そこで重要になるのが、
義務付け訴訟との関係です。
義務付け訴訟との関係
ここは試験頻出です。
不作為の違法確認訴訟と義務付け訴訟はセットで出題されます。

不作為の違法確認訴訟
行政庁が放置
↓
違法であることを確認
義務付け訴訟
行政庁が放置
↓
処分をするよう命じる
つまり、
■不作為の違法確認訴訟
→「放置は違法」
■義務付け訴訟は
→「許可などの具体的な処分しなさい」
という違いがあります。
なぜ義務付け訴訟と併合提起するのか
不作為の違法確認訴訟だけでは、許可を得られるとは限りません。
例えば、
営業許可申請
↓
行政庁が放置
↓
不作為の違法確認訴訟で勝訴
↓
でも不許可処分
という可能性があります。
そこで、
義務付け訴訟を併合提起することで、許可処分そのものを求めることができます。
取消訴訟との違い
ここも頻出です。
| 不作為の違法確認訴訟 | 取消訴訟 |
|---|---|
| 放置を争う | 処分を争う |
| 処分が存在しない | 処分が存在する |
| 違法確認 | 処分取消し |
取消訴訟は「処分が存在すること」が前提ですが、不作為の違法確認訴訟は「処分が存在しないこと」が前提になります。
行政書士試験の重要ポイント
不作為の違法確認訴訟は、択一式・記述式の双方で出題される可能性があります。
重要ポイント①
■ 不作為の定義
行政庁が申請に対して、
相当の期間内に何らの処分もしないことです。
択一でも頻出です。
重要ポイント②
■ 不作為の違法確認訴訟の目的
許可を得ることではなく、不作為が違法であることを確認することです。
不作為の違法確認訴訟で勝訴しても、許可処分が認められるわけではありません。
重要ポイント③
■ 義務付け訴訟との違い
不作為の違法確認訴訟
→ 放置が違法
義務付け訴訟
→ 処分を命じる
この違いは重要です。
重要ポイント④
■ 申請型義務付け訴訟との関係
行政書士試験では、申請型義務付け訴訟とセットで問われます。
不作為型の申請型義務付け訴訟は、
不作為の違法確認訴訟を併合提起しなければなりません。

重要ポイント⑤
■原告適格
不作為の違法確認訴訟は、「処分などの申請をした者」のみが提訴できます。
第三者に原告適格は認められません。
学習して難しかった点
私が最初に混乱したのは、
「不作為の違法確認訴訟で勝ったら許可が出るのでは?」
という点でした。
しかし実際には、裁判所が判断するのは、行政庁の放置が違法かどうかです。
そのため、
許可処分そのものを求める場合は、義務付け訴訟も必要になります。
この違いを理解すると、両者の役割が整理しやすくなりました。
学習のコツ
おすすめの順番は、
① 行政事件訴訟法
↓
② 抗告訴訟
↓
③ 取消訴訟
↓
④ 無効等確認訴訟
↓
⑤ 義務付け訴訟
↓
⑥ 不作為の違法確認訴訟
です。
特に、
義務付け訴訟との違いを比較しながら学習すると理解しやすくなります。
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まとめ
不作為の違法確認訴訟は、
行政庁が申請に対して何も判断しない場合に、その不作為が違法であることを確認する訴訟です。
- 行政庁の放置を争う制度
- 法令に基づく申請が必要
- 相当の期間の経過が必要
- 義務付け訴訟との違いが重要
- 申請型義務付け訴訟とセットで学習する
行政書士試験では、
「不作為=相当の期間内に何らの処分もしないこと」
という定義と、
義務付け訴訟との関係が重要です。


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