無効等確認訴訟とは?取消訴訟との違い・要件をわかりやすく解説【行政書士試験向け】

行政法解説

はじめに

「取消訴訟と無効等確認訴訟は何が違うの?」

「違法な処分なら全部取消訴訟で争えばいいのでは?」

行政事件訴訟法を学習していると、

  • 取消訴訟
  • 無効等確認訴訟
  • 公定力

の違いで混乱することがあります。

特に無効等確認訴訟は、
「行政処分が最初から無効であることを確認してもらう訴訟」であり、取消訴訟との違いが行政書士試験でもよく問われます。

この記事では、

  • 無効等確認訴訟とは何か
  • 取消訴訟との違い
  • 要件
  • 出訴期間との関係

を初学者向けにわかりやすく解説します。

無効等確認訴訟とは?(結論)

結論からいうと、
行政処分が最初から無効であることを裁判所に確認してもらう訴訟です。

例えば、

  • 権限のない行政庁が処分した
  • 処分の前提となる事実が全く存在しない

など、極めて重大な違法がある場合に利用されます。

つまり、
取消訴訟が「処分を取り消す訴訟」であるのに対し、
無効等確認訴訟は、
「最初から効力がなかったことを確認する訴訟」です。

しかし、
他の手段で目的が達成できる場合には、提起できません。

無効等確認訴訟のイメージ
無効等確認訴訟のイメージ

なぜ無効等確認訴訟が必要なのか

行政処分には公定力があります。

公定力とは、
たとえ違法な処分であっても、取り消されるまでは有効なものとして扱われる考え方です。

しかし、
違法の程度が極めて重大な場合まで、有効な処分として扱うのは不合理です。

そこで行政法では、
処分に「重大かつ明白な瑕疵」がある場合には、
最初から無効として扱うことがあります。

この無効を確認してもらうのが、
無効等確認訴訟です。

無効等確認訴訟と取消訴訟の違い

ここは試験頻出です。

無効等確認訴訟取消訴訟
無効を確認する処分を取り消す
最初から効力なし判決で効力を失う
出訴期間なし出訴期間あり
重大かつ明白な瑕疵が必要違法であれば足りる

イメージすると、

■取消訴訟

違法な処分

取り消す

■無効等確認訴訟

重大かつ明白な瑕疵

最初から無効

となります。

取消訴訟と無効等確認訴訟の違い
取消訴訟と無効等確認訴訟の違い

無効等確認訴訟の要件

行政書士試験ではここが重要です。

① 原告適格

無効確認を求める法律上の利益を有する者でなければなりません。

つまり、
その処分によって権利や利益が影響を受ける人です。

第三者も含まれます。

② 補充性

無効等確認訴訟は、
他の訴訟で救済できる場合には利用できません。

例えば、
通常の取消訴訟で十分救済できる場合には、無効等確認訴訟は認められません。

つまり、
他に手段がない場合に使うことができます。

これを補充性といいます。

補充性の必要性
補充性の必要性

③ 現在の法律関係に関する訴えであること

単なる過去の確認では足りません。

現在の権利義務や法律関係に関わる必要があります。

「重大かつ明白な瑕疵」とは?

ここが最重要ポイントです。

無効になるためには、単なる違法では足りません。

違法の程度が、

  • 重大である
  • 誰が見ても明らかである

ことが必要です。

この判断は、原則として処分が行われた時点の事情を基準に行われます。

例えば、

軽微な違法な場合

取消し

重大かつ明白な違法な場合

無効

というイメージです。

出訴期間との違い

取消訴訟には出訴期間があります。

原則として、
処分があったことを知った日から6か月以内に提起しなければなりません。

しかし、
無効等確認訴訟には出訴期間の制限がありません。

なぜなら、
無効な処分は最初から効力がないからです。

この違いは試験でもよく問われます。

出訴期間の比較
出訴期間の比較

取消訴訟との使い分け

実務上も試験上も、
まず取消訴訟を考えるのが基本です。

無効等確認訴訟は、
処分の違法が極めて重大な場合に利用されます。

つまり、

  • 取消訴訟が原則
  • 無効等確認訴訟が例外

というイメージで整理すると理解しやすくなります。

行政書士試験の重要ポイント

行政書士試験において、「無効等確認訴訟」は記述式・択一式ともによく出題されるテーマです。

重要ポイント①

■ 取消訴訟との違い

取消訴訟の規定が適用されるかを問う問題も出題されています。

項目無効等確認訴訟での扱い理由・ポイント
出訴期間の制限準用されない最初から無効な処分なので、いつでも訴えられる。
審査請求前置主義準用されない審査請求を経ずに、いきなり裁判を起こせる。
事情判決準用されない最初から無効な処分については、公益上の理由から処分を維持する余地がないため、事情判決の規定は準用されません。

重要ポイント②

■ 重大かつ明白な瑕疵が重要

「処分に重大かつ明白な瑕疵があったかどうか」を判断するタイミングは、裁判のときではなく、「処分がなされた当時(処分時)」の客観的事情が基準になります。

重要ポイント③

■ 出訴期間の制限がない

取消訴訟などにある、出訴期間がありません。

重要ポイント④

■ 補充性が必要

行政事件訴訟法36条の条文にある、
「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」というフレーズが記述式で出題されています。

学習して難しかった点

私が最初に混乱したのは、
「違法なら全部取消訴訟ではないのか?」という点でした。

しかし行政法では、

  • 違法だが有効な処分
  • 最初から無効な処分

を区別しています。

無効等確認訴訟は、後者を争うための制度です。

この違いを理解すると、取消訴訟との関係も整理しやすくなりました。

学習のコツ

おすすめの順番は、

① 行政事件訴訟法

② 抗告訴訟

③ 取消訴訟

④ 無効等確認訴訟

です。

まず取消訴訟を理解してから学習すると、無効等確認訴訟の位置づけが見えやすくなります。

あわせて読みたい

行政救済法とは?全体像と流れを初心者向けにわかりやすく解説

行政事件訴訟法とは?全体像をわかりやすく解説

抗告訴訟とは?種類・流れをわかりやすく解説

取消訴訟とは?要件・出訴期間・原告適格をわかりやすく解説

義務付け訴訟とは?要件・種類・取消訴訟との違いをわかりやすく解説

差止訴訟とは?要件・義務付け訴訟との違いをわかりやすく解説

不作為の違法確認訴訟とは?要件・義務付け訴訟との違いをわかりやすく解説

当事者訴訟とは?種類・抗告訴訟との違いをわかりやすく解説

まとめ

無効等確認訴訟は、
行政処分が最初から無効であることを確認してもらう訴訟です。

  • 最初から効力がないことを確認する
  • 重大かつ明白な瑕疵が必要
  • 出訴期間の制限がない
  • 補充性が必要
  • 取消訴訟との違いが重要

行政書士試験では、
「取消し」と「無効」の違いを整理して覚えることが得点アップにつながります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました